フットサルコートの照明は、プレーの安全性と快適性を左右する不可欠な要素です。適切な照度と均一な光源分布がなければ、ボールの視認性が低下し、選手の反応速度や判断力にも悪影響を及ぼします。
また、夜間や屋内コートでの利用を想定すると、照明計画が不十分な場合、プレー後の疲労や目の負担が増大するリスクがあるため、導入前にしっかりとした要件定義と器具選定が必要です。
必要照度と照明基準の確認
フットサルコートに求められる平均照度は、国際フットサル連盟(FIFA)の推奨基準で100~200ルクス。競技レベルや利用目的に応じて照度を調整し、試合用なら150ルクス以上を確保すると快適な視認性が得られます。
照度を測定する際は、コート中央だけでなくゴール前やサイドライン端部でも均一性が維持されているかを確認し、ムラの少ない配置を設計段階から検討しましょう。
平均照度と均斉度の関係
平均照度だけでなく、均斉度(最暗部照度÷平均照度)が0.5以上になるよう配慮することがポイントです。均斉度が低いと、強い影や光の落差が生じ、パスやトラップ時の軌道判断に支障が生じます。均斉度の測定には、複数箇所での照度計測が必須です。
照明器具の種類と特徴
近年、フットサルコート照明で主流となっているのはLED投光器です。LEDは消費電力が低く、瞬時に最大光量を得られる特性があります。
従来型の水銀ランプやメタルハライドランプに比べ、寿命が長くメンテナンス頻度を抑えられるため、ランニングコスト削減にも貢献します。一方、初期導入コストはやや高めのため、長期的な費用対効果を計算した上で導入検討を行いましょう。
LED投光器のメリット
LED投光器は、発熱量が少なくハウジングの保護等級が高いため、屋外での耐候性にも優れます。明るさの調整が可能な調光タイプを選べば、時間帯や天候に応じた最適照度を実現でき、さらに省エネ性が向上します。
照明配置と設置計画
照明柱の配置は、コート四辺の中央および両サイド中央付近に設置するのが一般的です。光源を低すぎず高すぎず、かつネットや周囲の障害物に遮られない位置に据え付けることで、コート全域を均一に照らせます。設置高さは10~12mを目安にし、光の拡散角度と取付角度を調整した上でシミュレーションを行うことが重要です。
配置シミュレーションの実施
導入前には照明計画ソフトや3Dシミュレーションを用い、ルクス分布図を作成して光量ムラを可視化します。実際の設置後に調整が困難なため、事前検証によるリスク低減が不可欠です。
電気配線と安全対策
照明器具に電力を供給するための配線は、専用の幹線を敷設し、盤内に過負荷保護用の遮断器を設置します。漏電遮断器(ELB)や漏電遮断機(ELCB)の導入で、感電や火災リスクを最小限に抑えつつ、安全基準をクリアしましょう。
また、配線は防水・耐候性の高いケーブルを選び、器具の取付金具や接続部には防錆・防水処理を施すことが長寿命化のポイントです。
メンテナンスと寿命管理
LED投光器の寿命は約50,000~100,000時間とされますが、運用環境や使用頻度によって前後します。定期的な清掃ではハウジングに付着した埃や虫の死骸を除去し、放熱フィンの目詰まりを防ぎましょう。
半年ごとに動作確認と光量測定を実施し、著しい光量低下が見られた場合はモジュール交換や器具全体の更新を検討します。
コスト削減と省エネ対策
照明の消費電力を抑えるためには、タイマーや人感センサー、調光コントローラーを活用し、利用時間外やプレー人数に応じて光量を自動調整すると効果的です。さらに、太陽光発電システムとの組み合わせで自己発電分を照明に充当すれば、電気代を大幅に削減できるほか、環境負荷低減にも寄与します。
まとめ:理想のフットサル照明を実現しよう
フットサルコート照明は、選定・配置・配線・メンテナンスまで一貫した計画と専門知識が求められます。最適なLED投光器の導入、均一な照度分布の確保、安全性を担保する電気配線、そして省エネ対策を組み合わせることで、選手も運営者も満足できるコート環境を構築できます。
本ガイドを参考に、夜間や屋内でも安心してフットサルが楽しめる照明設置を実現してください。

