テニス愛好者がラケットのパフォーマンスを最大限発揮するためには、ガット張り方を自分で習得することが有効です。
本記事では「テニスガットの張り方」をテーマに、必要な道具の選び方から基本的な張り方の手順、張り上げ後のチェックポイントやトラブル回避方法まで、初心者でも分かりやすく解説します。
これを読めば、ガット張りの基礎知識と実践スキルを身につけて、ラケットを常にベストコンディションに保つことができるようになります。
テニスガット張り方を自分で行うメリットと準備
ガットを自分で張ることにはコスト削減だけでなく、張り上がり時のテンション調整や根本からのラケット管理ができるというメリットがあります。ショップに持ち込まず、自分のペースで張り替えができるため、試合や練習前に安心してラケットを使えるのも魅力です。
しかし、最低限必要な道具や基礎知識がないと失敗の原因にもなるため、まずは準備段階で押さえておくべきポイントを見ておきましょう。
必要な道具と用意すべきガットの種類
自分でガットを張るには、まずテニスプライヤー、クランプ、テンションマシン、ストリングカッター、グリップテープなどの基本的な工具を揃える必要があります。とくにテンションマシンは電動式・手動式の2種類がありますが、初心者は操作が簡単な電動式を選ぶと失敗しにくいでしょう。
さらに、ガットの素材はナイロン、ポリエステル、ナチュラルガットなどがあり、反発性や耐久性、打球感が異なります。自分の技術レベルやプレースタイルに合ったガットを選ぶことが張り上がり後のプレーに大きく影響します。
ガットの太さ(ゲージ)は1.25mm~1.35mmが一般的で、細いほどスピン性能が高まり、太いほど耐久性が増します。最初はコストパフォーマンスに優れたナイロンストリングを選ぶのがおすすめですが、スピンにこだわりたい場合はポリエステル製のストリングを検討しましょう。
ラケットフレームの準備とチェックポイント
道具とガットが揃ったら、次はラケットフレームの準備です。まずは古いガットを取り外し、フレームの傷やフレーム内の汚れを確認します。特にフレーム内部のブリッジ部分にゴミがたまっていると、新しいガットを通す際に引っかかりやすくなるため、綿棒やブラシを使って丁寧に清掃しましょう。
フレームの素材や形状に応じて、最大推奨テンションをあらかじめ把握しておくのも忘れずに行います。
また、グロメット(アイレット)部分にひび割れがないか、プラスチック製の部品が劣化していないかも点検してください。劣化したグロメットを通そうとするとストリングが切れやすくなるため、必要に応じてグロメットガードを交換するか新品のラケットを検討しましょう。
テニスガット張り方の基本手順を段階的に解説
準備が整ったら、いよいよ実際のストリング張りに入ります。テニスガットを自分で張る際の基本的な流れは「縦糸→横糸」の順番で進めます。ここでは、最も一般的なクロス張り(シングルクロス)を例に、各ステップを詳しく説明します。
① 縦糸の張り方:最初のテンション設定とクランプ固定
まず、ラケットのグリップ側から縦糸を張ります。ストリングマシンのクランプを使い、必要な長さにカットしたガットをフレームの中央(縦方向の最上部)から通し、フレーム両サイドの縦ストリング用ホールに均等に通します。
次に、テンションマシンのテンションバーにガットを固定し、指定したテンション(例:50ポンド)に設定します。ガットをゆっくり引っ張り、テンションがかかったらクランプでしっかり固定します。
縦糸はラケット全体で均一なテンションを保つため、上下交互に順番に張っていくのが基本です。途中で片方のテンションが緩まないよう、縦糸はクランプを使って一時的に仮固定しながら作業を進めます。最終的には左右対称になるよう心掛けることが、クロス張りで重要なポイントです。
② 横糸の張り方:縦糸の合間を埋めながら均一に張る
縦糸がすべて張り終わったら、次は横糸を張ります。フレームの中央付近から、縦糸の交差部分の間にストリングを通し、テンションマシンに装着します。縦糸とのテンションバランスを崩さないよう、横糸も指定のテンション(縦糸と同じか少し低め)で張っていきます。
横糸を張るときは縦糸をできるだけ動かさないよう注意し、クランプ固定をこまめに行いながら均一に張り上げます。
横糸も縦糸と同様、フレーム両サイドにあるホールドポイントにストリングを通し、スポンジや指を使ってガットの間に押し込むように配置します。クロスする部分が均等に交差するように、ガットが歪まないよう丁寧に張るのがコツです。
すべての横糸が張り終わったら、最後の余分なガットを適切な長さでカットし、エンドテープを巻いて固定します。
③ フィニッシュとテンションの確認:仕上がりをチェック
縦糸、横糸をすべて張り終えたら、ストリング全体のテンションを再度確認します。ラケットのフェース面を軽く叩いて音を確かめると、テンションのばらつきが分かりやすくなります。
高い音ならテンションが高め、低い音ならやや緩んでいる可能性があるため、気になる場合は該当部分を再テンションし直しましょう。
また、指でストリングを押してみて、均一な弾力が感じられるかをチェックします。テンションに大きなムラがあると、スイング時のパワーロスやボールコントロールの乱れにつながるため、しっかり行った張り直しが必要です。
ストリング張り方でよくあるトラブルと対策
ガット張り方を自分で行うと、慣れないうちはミスやトラブルが起こりやすいものです。ここでは、よくある失敗例とその対策をまとめました。
トラブル① ガットが途中で切れるケースと原因
ストリングを引っ張っている最中にガットが切れてしまう原因は、テンションが高すぎるか、新品ガットの結び目や動かし方にムラがあるためです。張り始める前にパッケージの推奨テンションを確認し、それ以上に設定しないことが重要です。
また、縦糸と横糸を通す際に無理な角度で引っ張るとフレームのアイレット部分で摩耗して切れやすくなるため、専用のプライヤーやガットガードを使って摩擦を抑える工夫をしましょう。
トラブル② テンションムラによる音のばらつき
張り上げ後にフェース面をたたいてみると、中央とサイドで音が異なる場合があります。これは縦糸や横糸のテンションが均一でないためで、特に最後の数本を張る際にテンションの掛けすぎやクランプの固定不足が原因です。
音のばらつきを防ぐには、縦糸を張るときから左右対称に張り進め、クランプは必ずフレームに対して垂直に固定しましょう。張り上げ後に微調整が必要な場合は、テンションマシンで少しずつ引き直すことで音をそろえられます。
トラブル③ フレームの歪みや損傷を防ぐチェック
張り上げ時にフレームが歪むと、打球面の形状が変わり、飛びや方向性に悪影響が出ます。原因としては、テンションを均一にかけずに片側だけを強く引くことが挙げられます。張りはじめから左右対称に張り進め、適切なテンション設定を守ることが大切です。
さらに、テンションマシンのクランプ位置がラケットのエンド部分に正しく固定されているかをチェックし、フレームの曲がりがないかを張り上げ後にも確認しましょう。
張り替えのタイミングとメンテナンスのコツ
ストリングは使用頻度や打球の強さによって寿命が異なりますが、目安としては週に1~2回練習する場合、3~4か月に一度の張り替えが推奨されます。
張り替えのタイミングを見逃すと、打球感や飛距離、コントロール性能が徐々に低下するだけでなく、折れやすくなり膨大なミスヒットを招く恐れがあります。
ガットの寿命を見極めるサイン
テンションが落ちたときの音の変化、打球時の反発力の低下、コントロール性能の乱れを感じたら張り替えのサインです。また、ストリング表面が摩耗して毛羽立ってきたら、切れる前に交換することで、プレー中の急な切断トラブルを回避できます。
定期的にフェース面を指でなぞり、ガットの凹凸や変色をチェックする習慣をつけましょう。
古いガットの取り外しとフレームのお手入れ
張り替えの際は、古いガットを適切に外し、フレームのお手入れを行います。まずはストリングカッターでガットを数本切断し、一気に外すとフレームを傷つける恐れがあるため、一本ずつゆっくり取り外すことがコツです。
すべてのガットを取り除いたら、アイレット部分やフレーム内部に残ったゴミやホコリをブラシで掃除し、乾いた布で汚れを拭き取ります。
特にグロメット周りに汚れがたまっていると、新しいガットを摩耗させやすくなるため、清掃を徹底しましょう。
また、フレームに傷やヒビがないかを目視で確認し、問題があればグロメット交換や修理が必要です。清掃後は風通しの良い場所で少し乾かし、湿気の影響をなくしてから新しいガットを張り始めます。
まとめ:自分でガット張り方を習得してラケットを常にベストコンディションに
「テニスガット張り方」をテーマに、必要な道具の選び方から基本的な張り方の手順、よくあるトラブル対策、メンテナンスのポイントまで詳しく解説しました。
自分でガットを張ることにより、テンション調整や張り替えのタイミングを自由にコントロールできるため、ラケットを常にベストコンディションに保つことができます。
最初は手間に感じるかもしれませんが、手順を順番に覚えていけば失敗するリスクも減り、コスト面でも大きなメリットがあります。
ぜひ本記事を参考に、テニスガットの張り方をマスターし、自分だけの快適なプレースタイルを実現してください。日々の練習や試合でラケット性能を最大限発揮し、テニスライフをより充実させましょう。

