テニスを快適にプレーするためには、ラケットのグリップ(グリップサイズ)の太さを正しく見分け、自分の手に合ったものを選ぶことが重要です。
適切なグリップサイズを選択しないとスイング時に手首や肘、肩に余計な負担がかかり、怪我の原因になるだけでなく、ボールコントロールや安定性にも影響を及ぼします。
本記事では、具体的な測定方法や見分け方のポイント、初心者から上級者まで役立つ選び方のコツを徹底解説します。この記事を参考に正しいグリップサイズを見極め、より快適で効率的なプレーを目指しましょう。
テニスグリップサイズの基礎知識:なぜ太さが重要なのか
テニスラケットのグリップサイズは、ラケットを握ったときの手のひらと指の余裕、さらにはスイング時の安定感や力の伝達効率に直結するため非常に重要です。
適切な太さを選ばないと、ラケットを握るときに指と手のひらの間に隙間ができる、あるいは逆にきつくて握りにくいなどの問題が生じます。これらは長時間の練習や試合中にスイングの安定性を損ない、ケガのリスクも高めます。
グリップサイズは一般的に「G0」から「G5」などの番号で表され、各メーカーや地域によって微妙に呼び方が異なる場合があります。日本国内では、ラケットを縦に握ったときに人差し指と手のひらの間に約1cmの余裕があるサイズを「適正」という基準にしています。
実際には手の大きさや握力、プレースタイルによって最適な太さは異なるため、自分に合ったグリップを見つけるためにはしっかりと見分け方を押さえる必要があります。
また、グリップサイズが与える影響は怪我防止だけではありません。スピンショットやフラットドライブなど、繊細な打ち分けを行う際にも、ギリギリの力加減が利くかどうかは指先の感覚に直結しています。
手にしっくり馴染むグリップ太さを選ぶことで、思い通りのショットを実現しやすくなり、ラリーの精度を高めることが可能です。
グリップサイズの表記と日本・海外の違い
テニスラケットのグリップサイズ表記には、主に「G0~G5」と「インチ表記(4 1/8~4 5/8)」という2つの方式があります。
日本国内のメーカーは「G0~G5」で表すことが多い一方、海外メーカーのモデルでは4 1/8インチ(約104mm)~4 5/8インチ(約118mm)で表記される場合があります。各表記を混同しないように注意しましょう。
一般的に、G0は4 1/8インチ(約104mm)、G1は4 1/4インチ(約108mm)、G2は4 3/8インチ(約112mm)、G3は4 1/2インチ(約114mm)、G4は4 5/8インチ(約118mm)に相当します。
したがって、海外製ラケットを購入する際には、自分がいつも使っているGサイズをインチ表記に換算して選ぶことが必要です。なお、メーカーによって多少の誤差があるため、可能であれば実際に握って確かめることをおすすめします。
さらに、ラケットのグリップ形状にはストレートタイプとコンプタイプがあり、同じサイズ表記でも握り心地が異なる場合があります。ストレートタイプはグリップ断面が丸みを帯びており、比較的均一な太さが持続するため、ラリー中の手の移動がスムーズになります。
一方、コンプタイプは握り部分にわずかな絞り加工が施され、手のひらを自然に軽く固定しやすい設計です。ストレートタイプかコンプタイプかによって、同サイズでも体感する太さが異なるため、自分の手に合わせて選ぶことが大切です。
正しいグリップ太さの見分け方:自宅でもできる測定手順
実際に店頭でラケットを試し握りするのがベストですが、自宅にあるラケットでグリップの太さを確かめる方法もあります。
以下では、自宅で手軽にできる測定手順を3ステップで解説しますので、参考にしてください。
ステップ1:ラケットを縦に構えたときのゆとりをチェックする
まずはラケットを垂直に持ち、プレー中の構えを意識しながら、グリップを指先から手のひら全体で包み込みます。このとき、親指と人差し指の付け根あたりに人差し指が入る隙間が約1cm程度確保されているかを確認しましょう。
具体的には、親指側から人差し指の第二関節を軽くグリップにあて、あらかじめ設けた線(または布やテープの小さな印)と人差し指の間に、ちょうど小指が挿入できる程度の空間があることが理想です。
隙間が広すぎる場合はグリップが小さいことを意味し、その状態でラケットを握るとスイングのたびにラケットが手の中で滑り、コントロールが不安定になります。一方、隙間がまったくなく、グリップが手全体に食い込んでいる場合は太すぎると判断できます。
その場合はオーバーグリップを薄手のものに変えるか、ワンサイズ小さいグリップサイズを探す必要があります。
ステップ2:フォアハンドのスイング動作を模擬し感覚を確かめる
次に、実際にフォアハンドスイングを模擬してみましょう。テニスコートがなくても、室内でラケットを持ったまま前方に振る動作を行い、スイング中のグリップ感を確認します。
この際、手首にストレスを感じず、ラケットがしっかり手のひらに密着しているかを意識しましょう。手首に負担がかかっていると感じる場合は、グリップが細すぎる可能性があります。
逆に、グリップを握ったままスイング後に手首が動かないほどきつく握っていると感じたら、グリップが太すぎてスムーズなスイングが阻害されているサインです。
フォアハンドだけではなく、バックハンドの構えやボレーをイメージした握り方でも同様に確認し、手首や指先の余裕をチェックしましょう。これによりスイングの安定感とボールコントロールが飛躍的に向上します。
ステップ3:プロの計測器具や指の測定でサイズを数値化する
もし手元にシリンダー型のグリップサイズ計(グリップゲージ)があれば、それを使って数値的に測定することが可能です。このグリップゲージは円柱状の計測器具で、ラケットのグリップに合わせて最適なサイズを測定できるアイテムです。
グリップを覆うオーバーグリップを外し、グリップ本体のシリンダーにラケットを差し込むことで、計測器具の目盛りに応じて適切なサイズが一目で分かります。
すでに複数本のラケットを所有している場合は、各ラケットの正確なグリップサイズを把握し、どのモデルが自分に合っているか比較する際に非常に便利です。
また、簡易的な方法としては、「指の長さを測る」方法もあります。手のひらを開いた状態で小指と薬指の間にラケットを置き、人差し指と親指の基部の間から小指がどの程度グリップにかかるかを計測します。これは店頭での目安にもなり、自宅での事前チェックに役立ちます。
指の長さとグリップサイズの相関表を参考にしながら、自分に最適なサイズを導き出しましょう。
グリップ太さの適正化で得られるプレーのメリットと注意点
適切なグリップサイズを選ぶことで、プレー全体のパフォーマンスが向上します。ここでは、具体的に得られるメリットと、選ぶ際に注意すべきポイントを解説します。
メリット① スイングの安定性とパワー伝達の向上
自分の手に合ったグリップサイズを使うと、スイング時にラケットが手の中で無駄に動かず、しっかりと固定できるため、パワーが効率的にボールに伝わります。
この安定性があることで、フォアハンドやバックハンドを打つ際にインパクト時の振動やズレが減少し、スピンショットやドライブボレーなど、意図したショットをより正確に実現しやすくなります。
さらに、適切なグリップサイズはスイング軌道を安定させるだけでなく、連続したラリー時に疲労を感じにくくなります。手首や肘の余計な動きが抑えられるため、力を入れすぎずにリラックスした状態でプレーを続けられ、結果として長時間の試合でも高い集中力を維持しやすくなります。
メリット② ケガのリスク低減と長期的な体への負担軽減
グリップが小さすぎると、スイング時にラケットを握り込む際に余計な力が加わり、手首や肘、肩に無理な負担がかかります。これが原因でテニス肘や手首の腱鞘炎など、特定のケガを引き起こすリスクが高まります。
一方で、グリップが大きすぎるとラケットを握る力が分散されてしまい、手首や前腕にかかる衝撃を抑えきれず、インパクト時に負荷が直接身体に伝わりやすくなるという欠点もあります。
正しいグリップサイズを選ぶことで、手首や肘の自然な角度を保ちつつラケットをコントロールできるため、ケガのリスクを大幅に低減できます。
特にジュニアやシニア、手首や肘に既存のトラブルを抱えるプレーヤーは、自分に最適なサイズを使用することで、長期的な健康とパフォーマンス維持を図ることができるのです。
注意点:オーバーグリップと下巻きテープの活用方法
すでに使用しているラケットのグリップが合わないと感じた場合、オーバーグリップや下巻きテープ(アンダーラップ)を活用して調整する方法があります。オーバーグリップは太さをプラスマイナス約0.5mm程度変化させることが可能で、握りやすさを微調整できます。
例えば、グリップがやや細いと感じたらオーバーグリップを2重に巻くことで太くし、自然にフィットする太さに近づけることができます。
下巻きテープはグリップの根元に巻くことで厚みを増し、全体の太さを調整するための方法です。こちらはオーバーグリップよりも微細な調整が可能で、上級者や細かい握り心地にこだわる方におすすめです。
ただし、下巻きテープを厚くしすぎるとグリップが不自然に短く感じる場合があるため、巻き量には注意が必要です。いずれの場合も実際にラケットを握りながら少しずつ重ねていき、最適な太さを見つけましょう。
まとめ:自分の手に合ったグリップ太さでテニスをもっと快適に楽しもう
「テニスグリップの太さの見分け方」をテーマに、グリップサイズの重要性や表記の違い、自宅でできる簡易測定法、実際の選び方のポイント、適正化によるメリットと注意点を詳しく解説しました。
適切なグリップ太さを見分けることは、パワー伝達やショット精度の向上だけでなく、ケガの予防や長時間プレー時の疲労軽減にもつながります。
グリップサイズは一度選べば終わりではなく、プレースタイルの変化や身体の成長、消耗度合いによって変わります。定期的に自分のグリップが合っているかを見直し、オーバーグリップや下巻きテープで微調整を行うことで、常に最適なグリップを維持しましょう。
正確にサイズを見分けるスキルを身につけることで、テニスのパフォーマンスは飛躍的に向上し、より快適で充実したテニスライフを楽しむことができます。

