バレーボールシューズにはローカット、ミッドカット、ハイカットの３タイプが存在しますが、その中でもハイカットモデルは足首全体をしっかりとホールドし、着地時の安定感を重視するプレーヤーに支持されています。
特にスパイクやブロックの着地で足首を痛めやすいジャンパーやアタッカーにとって、ハイカットシューズはケガ予防の観点から有効です。
本記事では、ハイカットモデルのメリット・デメリットから、選び方のコツ、おすすめモデルの比較までを詳しく解説します。
ハイカットシューズとは何か：そのメリット・デメリットを理解する
ハイカットシューズは、シューズのアッパー（甲部分）が足首を覆う高さに設計されたタイプを指します。ローカットやミッドカットと比べて足首を包み込みやすく、着地の衝撃を足首全体で受け止めることができるのが最大の特徴です。
しかし、その一方で重さや可動域への制限といったデメリットもあります。
メリット：足首サポートと安定性の強化
ハイカットシューズ最大の魅力は、足首をしっかりホールドすることで着地時のねじれや捻挫を防ぎやすくなる点です。バレーボールはジャンプ後の着地が頻繁に発生しますが、ハイカットモデルなら足首のブレを抑え、正しい着地フォームを維持しやすくなります。
特にアタッカーやミドルブロッカーのように高く跳んで素早い着地を繰り返す選手にとっては、ケガ予防の観点からも大きなメリットがあります。
デメリット：重量増加と足首の可動制限
一方でハイカットシューズには重量が増加しやすく、足首の可動域が制限されるというデメリットがあります。軽快なフットワークを求めるリベロや守備専門の選手にとっては、ハイカットシューズを履くことで動きが若干鈍く感じることがあるかもしれません。
また、足首を覆う面積が大きいため、通気性が低下しやすく、長時間のプレーで蒸れを感じやすい点にも注意が必要です。
ハイカットモデルを選ぶ際の6つの比較ポイント
ハイカットシューズを選ぶ際には、以下のようなポイントを重視して比較することが大切です。足首サポート、ミッドソールのクッション性、アウトソールのグリップ力、アッパーの素材・通気性、重量バランス、フィット感の6つをチェックしましょう。
1. 足首サポート機能：内蔵補強の有無と構造
ハイカットシューズの最大の特徴である足首サポート部分には、内蔵補強パネルやパッドが配置されていることが多いです。補強パネルが硬すぎると足首が窮屈に感じる一方、柔らかすぎるとサポート力を発揮しません。
足首周りに適度な剛性を持たせつつ、クッション性を備えたDynamotion FitやAnkle Guard構造など、独自技術を搭載したモデルを比較すると良いでしょう。
2. ミッドソールのクッション性：GEL・Wave Plate・Power Cushion等の比較
ミッドソールにはメーカー独自のクッショニング素材が使用されることが多く、その性能差が履き心地や衝撃吸収に大きく影響します。アシックスのGELテクノロジーは優れた衝撃緩和力を持ち、ミズノのWave Plateは反発力を生み出しつつ着地の安定感も担保します。
ヨネックスのPower Cushionは着地衝撃を反発力に変換し、推進力を向上させる特徴があります。これらの素材を比較し、自分のプレースタイルに合ったクッショニングを選びましょう。
3. アウトソールのグリップ力と耐摩耗性：パターンとラバーミックスをチェック
バレーボールシューズのアウトソール材質には高耐摩耗ラバーや合成ゴムが使われ、コート上でのグリップ力を確保しています。
溝パターンによってグリップ性能は大きく異なり、細かいウェーブ形状やドットパターン、二重構造のラバーミックスなど、パターンごとに摩擦特性が変化。コートで滑りにくく、かつ耐久性が高いアウトソールを選びましょう。
4. アッパー素材と通気性：メッシュ×補強パネルのバランス
ハイカットシューズのアッパーは足首まで覆うので通気性が低下しやすいですが、メッシュ素材を多用したモデルなら蒸れを軽減しつつサポート力も得られます。合成繊維やTPU補強を適切に配置し、軽量性と安定性のバランスを取ったアッパー構造を比較しましょう。
防菌防臭加工が施されたインソールや内張りを搭載しているモデルは、長時間プレーでもイヤなニオイを抑えられます。
5. シューズ全体の重量バランス：軽量化技術とフォーム配置
ハイカットシューズはどうしてもローカットより重量が増える傾向がありますが、ミッドソール素材の軽量化やアッパーの薄型化、ソール剛性の最適化など、各社が軽量化技術を競っています。重量は片足で200～300g程度が一般的ですが、モデルによって50g以上の差があることも。
実際に試着し、軽さと安定感のバランスを確かめることが重要です。
6. フィット感とシューレースシステム：ホールド力と締めやすさ
シューレースシステムの配置や甲部分の締めやすさは、足首周りのサポート力に直結します。ダイナミックフィット構造やストラップによるクロージャーシステムを搭載しているモデルは、足全体を包み込み、動きに合わせてホールド感が変化するため好評です。
シューレースが細かく刻まれていると微妙な締め調整が可能になり、自分の足型に合わせたフィット感を追求できます。
ハイカットシューズの比較：ブランド別おすすめモデル2選
上記の比較ポイントを踏まえ、初心者～上級者向けにハイカットバレーボールシューズのおすすめモデルを2つピックアップしました。スペック、価格帯、特徴を比較しながら、自身のプレースタイルに最適な一足を見つけましょう。
① アディダス「Crazyflight X」：軽量化と快適フィットを追求
アディダス「Crazyflight X」は、アディプレンやアディプラスを組み合わせたミッドソールにより、軽量ながら優れたクッション性と反発力を実現。ハイカット形状のアッパーは、プライムニット素材を使用し、足首をしっかり包み込むと同時に優れた通気性を提供します。
アウトソールはAdiwearラバーを採用し、耐摩耗性を高めながらもグリップ力を維持。価格は約2万8000円前後と高価ですが、軽量化とフィット感を最重視するプレーヤーにおすすめです。
② ミズノ「WAVE LUMINOUS V1」：安定性と耐久性を両立したオールラウンダー
ミズノ「WAVE LUMINOUS V1」は、Wave Infinity（ウェーブインフィニティ）プレートと高反発素材を組み合わせ、安定性と反発性を高次元で両立したモデルです。ミッドソールはEVAとPUの複合構造で厚みを持たせ、ジャンプ着地時の衝撃を大きく吸収します。
ハイカット形状のアッパーには合成繊維と補強パーツを効果的に配置し、足首を固定しつつフィット感を損なわない設計。アウトソールはX10ラバーを採用し、高い耐摩耗性とグリップ力を実現しています。価格は約2万6000円前後で、中級者から上級者まで長く使えるオールラウンドモデルです。
ハイカットシューズと他カットタイプの比較：自分に合ったタイプを見極める
ここまでハイカットモデルの特徴やおすすめモデルを紹介してきましたが、最終的には自分のプレースタイルや足首の強さ、プレー環境に合わせてローカット・ミッドカット・ハイカットのいずれかを選ぶ必要があります。以下では各タイプを簡単に比較します。
ローカット vs. ハイカット：軽量性と可動域の違い
ローカットシューズは軽量で足首の可動域が広く、素早いフットワークが必要とされる守備専門のリベロやアウトサイドヒッターに適しています。一方、ハイカットシューズは足首を高くホールドし、ジャンプ着地時の安定感やケガ予防力が高いのが魅力です。
ローカットは250～300g程度の軽量モデルが多く、足首の動きを邪魔しない分、素早いステップが可能になります。対してハイカットは300～350g程度が主流ですが、足首を包み込む構造が安定感を生み、ジャンプ主体のアタッカーやブロッカーに向いています。
ミッドカット vs. ハイカット：バランス型の選択肢
ミッドカットシューズはローカットとハイカットの中間に位置し、足首を部分的にホールドしながらも動きやすさを両立させたバランス型です。軽量化を図ったミッドカットモデルでは、ジャンプ時の安定感を確保しつつ、ローカットに近い軽快さを得られる設計が増えています。
ミッドカットはローカットよりも足首サポート力が高く、ハイカットほど重量増を感じにくいというメリットがあります。ケガリスクを抑えたいが、あまり動きが重くなるのも避けたいという選手にとっては、ミッドカットが最適です。
メンテナンスと長持ちさせるコツ：ケア方法を押さえてパフォーマンスを維持
どれだけ高性能なハイカットシューズでも、適切なケアを行わなければ性能は低下してしまいます。ここでは日々のメンテナンス方法と長持ちさせるコツを解説します。
使用後の汚れ落としと陰干し
プレー後は、まずシューズの表面やソールに付着したほこりや汚れを柔らかいブラシで優しく落とします。
アッパーに泥や汗が付着している場合は、湿らせたタオルで拭き取り、中性洗剤を薄めた水で軽く汚れを落とします。汚れを放置すると素材が劣化しやすくなるため、できるだけ速やかにお手入れすることが大切です。
汚れを落とした後は、直射日光を避けて風通しの良い日陰で陰干ししましょう。シューズ内に新聞紙やシューキーパーを入れると湿気を吸収しやすくなり、型崩れを防ぎつつ速乾化できます。ヒーターやドライヤーは素材を傷めることがあるため避けましょう。
アウトソールの摩耗チェックと補修
アウトソールの摩耗は、グリップ力低下や滑りやすさを招く原因になります。定期的にソールの溝やラバーの厚みをチェックし、摩耗が目立つ場合は専用の補修ラバーや補修パッドを貼ることでグリップを復活させることが可能です。
摩耗が極度に進んでいる場合は、新しいシューズへの買い替えを検討しましょう。
インソールの交換と抗菌処理
インソールは汗や摩擦で劣化しやすく、においの原因にもなります。定期的に取り外して陰干しし、抗菌スプレーや消臭シートを用いて雑菌の繁殖を抑えましょう。
また、へたりや凹みを感じた場合は新品のインソールに交換することで、クッション性を回復し足裏への負担を軽減できます。カスタムインソールを導入し、自分の足型に合わせたサポート力を追加するのもおすすめです。
まとめ：ハイカットシューズでバレーボールの安全性とパフォーマンスを高める
バレーボールシューズハイカットモデルのメリット・デメリットや選び方のポイント、主要ブランドのおすすめモデル2選、さらにはメンテナンス方法までを網羅的に解説しました。
ハイカットシューズは足首のサポート力を高め、ジャンプ着地時のケガリスクを軽減できるため、アタッカーやミドルブロッカー、ジャンプ主体のプレーヤーに最適です。
選定時には足首サポート機能、ミッドソールのクッション性、アウトソールのグリップ力、アッパー素材の通気性、重量バランス、フィット感の6つの比較ポイントを押さえ、各メーカー独自の技術を比較検討しましょう。
この記事を参考に、自分のプレースタイルに合った最高のハイカットシューズを見つけ、バレーボールのフットワークと安全性を飛躍的に向上させてください。
