医療機関や介護施設、コールセンター、警備会社など、24時間365日稼働させなければならない現場では、夜勤・深夜帯のシフト管理が特に煩雑になります。
Excelだけで「日付をまたいだ勤務時間」「深夜割増時間の自動集計」「曜日ごとのローテーション」「夜勤明けの休日日数管理」などを一元化するテンプレートを作成すれば、誰でも簡単にミスなく運用できます。
本記事では、0時をまたぐシフトの扱いから自動計算の仕組み、条件付き書式で視認性を高める方法、さらには勤務時間集計や交代パターンの効率的な設定まで徹底解説します。
なぜ24時間対応シフトはExcelで管理すべきか
24時間運用のシフト管理は、日をまたぐ出退勤や深夜時間帯の割増賃金計算など、一般的な日勤シフトにはない複雑さがあります。専用システムを導入するとコストがかかり、操作を習得する手間も発生します。
Excelでテンプレートを自作すれば初期費用ゼロ、既存の勤怠データとの連携もスムーズです。また、セルの数式や条件付き書式を工夫するだけで、誰でも使いやすいシンプルな運用フローを構築できます。
Excelならではの柔軟性と拡張性
勤務パターンの追加や休日日数の変更、複数拠点シフトの統合など、運用フローに合わせて自由にカスタマイズ可能です。マクロやPower Queryを併用すれば、月末の自動集計ボタンやスタッフ別勤務時間グラフの作成も楽々実現できます。
低コストでスピーディに運用開始
Excelテンプレートならダウンロードして日付セルを入力するだけで即日運用が可能。入力セル以外をシート保護すれば、担当者が誤って数式を消してしまうリスクも排除できます。
0時またぎシフトの自動計算技術
24時間対応シフトの要は「出勤日付と退勤日付が異なる勤務」を正しく計算することです。Excelでは時間をシリアル値として扱うため、退勤時刻が出勤時刻より小さい場合は翌日とみなして計算式を工夫します。
MOD関数を使った日またぎ計算
シフトの開始時刻をA列、終了時刻をB列に入力した場合、以下の式で労働時間を自動計算できます。=MOD(B2-A2,1)
この数式は退勤時刻が小さい(=翌日の午前)場合も正しい差分を返し、24時間を超える長時間シフトにも対応します。
深夜時間帯の自動集計
深夜帯(22:00~翌5:00)に該当する時間を別セルで集計するには、さらにIF関数を組み合わせます。=MAX(0,MIN(B2,1+TIME(5,0,0)) - MAX(A2,TIME(22,0,0)))
この式で夜勤中の深夜時間を切り出し、自動で割増賃金対象時間を算出できます。
曜日ローテーションと休日管理
24時間運用では、スタッフごとに「夜勤→明け休み→日勤」のサイクルを組むことが多く、曜日もシフト表に反映しなければなりません。ExcelのWEEKDAY関数と条件付き書式を組み合わせることで、土日祝日や夜勤明け休みを自動判定し、背景色やフォントで強調できます。
WEEKDAY関数で土日自動判定
日付セルがC2から横に並ぶ場合、=WEEKDAY(C2,2)で1=月曜~7=日曜の数値を取得。条件付き書式で「=WEEKDAY(C2,2)>=6」のセルにグレー背景を設定すると、土日が自動的に色分けされます。
夜勤明け休みのハイライト
夜勤を示すシフトコード(例:”N”)がA列に入力されているとき、翌日のセルに「R」(休み)を自動入力し、色分けするマクロを組むことで、休日日数の過不足を可視化できます。
視認性を高める条件付き書式活用法
24時間シフト表はセル数が多く、視認性が低下しがちです。条件付き書式を活用して「夜勤帯」「日勤帯」「深夜割増」「休み」を色分けすれば、ひと目で勤務形態を把握できます。
シフトコードごとの背景色設定
「日勤=白」「夜勤=ブルー」「深夜=ネイビー」「休み=グレー」といったルールを、それぞれの文字列を条件に設定。書式ルールを複数重ねることで、複雑なパターンもすっきり整理できます。
土日祝日+夜勤の組み合わせ強調
土日祝日の夜勤セルをさらに目立たせるには、優先順位を調整し、「土日判定+シフトコード判定」の複合条件付き書式を設定します。これによりリスクの高いシフトを事前把握しやすくなります。
自動集計とレポート作成の仕組み
月末には各スタッフの勤務時間や深夜帯時間、休日日数などを集計し、給与計算や管理会議用のレポートを作成します。ExcelのSUMIF関数やピボットテーブルを使えば、数式を組まずとも集計表が自動生成可能です。
SUMIFS関数で時間帯別集計
スタッフ名がA列、シフト時間がB列~C列に入力されている場合、=SUMIFS(D:D,A:A,"山田太郎",E:E,"深夜")
のようにSUMIFSを使って深夜時間列を合計し、一瞬で深夜割増対象時間を算出できます。
ピボットテーブルで稼働率可視化
シフト実績テーブルを選択し、「挿入」→「ピボットテーブル」を実行。行にスタッフ名、列に日付を配置し、値に勤務時間を設定すると、稼働マトリクスが完成します。フィルタやスライサーで部門別やシフト種別ごとの稼働率分析まで可能です。
24時間シフト運用のベストプラクティス
Excelでシフト表を作る際は、運用面でもいくつかのポイントを押さえるとスムーズです。更新担当者の教育やファイル管理ルール、バックアップ運用など、業務フローに合わせた運用設計を心掛けましょう。
バージョン管理とバックアップ
毎月のシフトを別ファイルに保存するだけでなく、SharePointやTeams上で自動バージョン管理を有効化すると、誤更新時も元に戻せる安心感があります。
操作マニュアルの整備
数式やマクロを組み込むと、担当者が変わった際にトラブルの種になります。シフト表の使い方やマクロ実行手順、トラブル時のリカバリ方法をまとめた簡易マニュアルを添付しましょう。
まとめ:Excelで実現する24時間対応シフト管理
「エクセルで作成する24時間対応シフト表」をテーマに、0時またぎシフトの自動計算、WEEKDAY関数による土日・祝日判定、条件付き書式での色分け、SUMIFS集計、ピボットテーブル可視化、実運用のベストプラクティスまで解説しました。
これらを取り入れれば、夜勤や深夜帯が多い現場でも精度の高いシフト運用が可能になります。ぜひ本記事のノウハウを活用し、24時間体制のシフト管理をスマートに実現してください!

