「剣道 基本 正しい竹刀の握り方」をテーマに、竹刀を正確かつ安定して扱うための握り方を徹底解説します。
手首や肘の負担を減らし、振り下ろし・振り上げ時のブレを抑える基本フォームから、左右の手の役割、よくある間違いと修正ポイント、日常稽古でできるグリップ強化ドリルまで網羅しています。
1. 竹刀の握り方が剣道の技術に与える影響
竹刀の握り方は、正確な打突・素早い返しを実現する上で最も重要な要素です。握りが甘いと打突時にしなりが伝わらず威力が落ち、握りが強すぎると手首や前腕に余計な力が入り、疲労やケガの原因になります。まずは自然な脱力と、左右の手の役割分担の意義を理解しましょう。
1-1. 左右の手の役割分担
剣道では左手が竹刀の支点、右手が打突の推進力を生み出す役割を担います。左手は柄の八分目あたりを軽く包み込むように握り、竹刀全体をコントロール。右手は柄尻寄りを握り、振り下ろし・振り上げ時に指先で押し込むように力を伝えます。
1-2. 力の入れどころと脱力の重要性
握りは常に「脱力7:小指に軽く力3」のイメージ。打突の瞬間にのみ小指側で一瞬力を集中し、それ以外は脱力して竹刀をしならせることで、鋭い一本を実現します。
2. 正しい握り方の手順とポイント
ここからは実際に竹刀を握る手順を段階的に解説します。基本の中段構えから打突体勢まで、自然と正しいグリップに導くポイントを押さえましょう。
2-1. 竹刀を構える前の手の位置調整
肩幅程度に足を開いた中段構えで、竹刀を斜め前方に向けて持ちます。その状態で両手を自然に下げ、肘が軽く引ける位置を確認してください。
2-2. 左手の握り方
左手の親指は柄の真横に添え、小指側を柄尻寄りに軽く引きつけます。腕全体の力を抜き鎖骨から先がゆるやかに伸びるように意識すると、竹刀の支点が安定します。
2-3. 右手の握り方
右手は柄尻から中ほどにかけて、人差し指・中指・薬指を軽く曲げ、小指と親指で押し込むように握ります。打突時には小指をしっかり押し出し、竹刀の振りに加速を与えましょう。
3. よくある握り方の間違いと修正法
剣道初心者に多い「握りすぎ」「握り位置のズレ」「手首の開き」などの間違いをピックアップし、簡単に自分でチェック・修正できる方法を解説します。
3-1. 握りすぎによる弊害と脱力練習
握りすぎると手首や前腕の筋疲労が早まり、振りに粘りがなくなります。握りを緩めるために、竹刀を水平に置いて落とさない程度の「脱力ハーフグリップ」を毎日10回ずつ練習しましょう。
3-2. グリップ位置のズレと調整法
左手が柄尻寄りすぎるとブレやすく、右手が真ん中付近だと打突威力が落ちます。鏡の前で握り位置を確認し、左手は八分目、右手は二分目を目安にバランスを整えましょう。
3-3. 手首の開きすぎを防ぐコツ
打突時に手首が開くと竹刀が外側に逃げてしまいます。素振り中、手首裏側にタオルを軽く掛けて振ることで、開きを抑制し、まっすぐ振り下ろす感覚を養えます。
4. 日常稽古でできるグリップ強化ドリル
正しい握り方を定着させるには、握力だけでなく指先の微細なコントロール力を鍛えるドリルが効果的。ここでは器具不要でできる3つのトレーニングをご紹介します。
4-1. 竹刀ぶら下げドリル
中段構えで片手だけ竹刀を柄尻からぶら下げ、15秒キープ。左右交互に行うことで、自然と脱力した位置で握りが安定します。
4-2. ペットボトル回転素振り
500mlペットボトルに水を少量入れて竹刀の代わりに振り、握り位置や角度を一定に保ったまま回転素振り。ボトルが落ちないよう指先で微調整する感覚が身につきます。
4-3. 弱酸素素振り(素振りの集中練習)
通常より低速の素振りを行い、竹刀が指の腹に当たる“しなり”を感じながら振ります。打突時の手首と指先の連動を意識することで、正しい握り方が身に付きます。
5. 握り方を生かした打突フォームとの連携
正しい握りをマスターしたら、打突フォームにも意識を向けましょう。握りと打突動作を連動させることで、威力・正確性・連続技の切れ味が一段と向上します。
5-1. 中段から振り下ろす連動
正しい握りで中段構えをとったら、腰のひねりとともに左手で支点を保ち、右手の押し込みで竹刀を振り下ろします。握りが適正なら、打突点で竹刀がしなり、威力に吸収が生まれます。
5-2. 切り返し時の再握り直し
打突後の切り返しで手が緩むと連続技がタイミングを失います。切り返しの軸足踏み替えと同時に右手を一瞬締め直し、次の素振りへ滑らかにつなげましょう。
まとめ:握り方がすべての基本──日々の養成で確かな一本を
剣道における「竹刀の正しい握り方」は、力の伝達・脱力・手首の安定を支える土台です。左右の手の役割分担、脱力のポイント、よくある間違いの修正、日常稽古ドリルを通じて、自分の握り方を常にチェック・改善してください。正しいグリップは、剣道技術全体の向上に直結します。

