ビリヤードにおいて、狙ったショットを再現するために最も重要なのが「姿勢の安定」です。姿勢がブレるとキューの軌道が狂い、狙いどおりの撞点に届きません。
本記事では、基本のスタンス、重心のかけ方、上半身の使い方、よくあるミスとその修正ドリルまでを3解説します。
1. ビリヤード姿勢の基本──スタンスの取り方
安定したショットは、まず両足のポジションから。足幅は肩幅と同じか、やや広めに取り、前足を撞点に向けて斜め45度、後ろ足は真っすぐ後方かやや外側に開きます。こうすることで腰・膝・足首が自然に連動し、上下左右のブレを抑えられます。
1-1. 前足と後ろ足の重心配分
前足に体重を約6割、後ろ足に4割を分配すると、ブリッジ(前手)とグリップ(後手)の動きを安定させられます。前足に寄せすぎると後ろ足が浮き、後ろ足に寄せすぎると前傾が甘くなるため、微調整しながら自分に合った感覚を探しましょう。
1-2. 膝と腰の“軽い曲げ”がポイント
膝は軽く折り、腰もわずかに前傾させることで、重心が低く安定します。膝を伸ばしきると上下動が大きくなり、深く曲げすぎると動きづらくなるため、中間の“緩いカーブ”を維持してください。
2. 上半身の固定と視線の一貫性
下半身が安定したら、次は上半身と目線の固定です。胸は軽く張り、背筋を伸ばしながらも肩の力を抜きます。頭はブリッジ上に固定し、目線は撞点にグッと集中させることで、フォーム全体がブレにくくなります。
2-1. 首から腰までを一直線に保つ
撞く瞬間に首が前後左右へ揺れると、キューのラインがずれやすくなります。首から腰までを一本の柱のようにイメージし、体幹で衝撃を受け止める感覚をつかみましょう。
2-2. 目線移動を最小限にするコツ
照準を合わせる際に頭を動かす初心者が多いですが、一度撞点を定めたら視線を切らさないことが大切です。ブリッジ側の目だけで撞点を追い、左右の目のズレを防ぐ練習を行うと効果的です。
3. 重心移動でパワーと精度を両立
ショットの威力と正確さを高めるには、体重を自然に前後に移動させる体重移動(ウェイトシフト)が不可欠です。後ろ足で溜め、撞く瞬間に前足へスムーズに移動することで、キューに最大限の推進力を与えられます。
3-1. テイクバックで後ろ足に体重を乗せる
キューを後ろに引く際は、意識的に後ろ足へ重心を寄せます。このとき膝を軽く折り、臀部を後ろに引くイメージで構えると自然に後ろ足が安定します。
3-2. フォワードストロークで前足へ体重を移す
撞点へのインパクト直前に、おへそをターゲット方向へ軽く押し出すように重心を前足に移動。これによりブレの少ない強いショットが可能になります。
4. よくある姿勢の失敗例と修正法
初心者が陥りやすい姿勢のミスをピックアップし、具体的な修正ポイントを解説します。
4-1. 足幅が狭すぎて不安定になる
狭いスタンスは上下左右の揺れを助長します。両足を肩幅かやや広めに開き、安定性を確保しましょう。練習時に壁沿いで構え、膝の開き具合をチェックすると効果的です。
4-2. 目線が撞点を外れてしまう
狙う瞬間に顔を動かすと、キューラインがぶれます。マーカーを撞点に置き、その上だけを狙い続けるドリルで“目線固定力”を鍛えましょう。
5. 自宅でできる姿勢安定ドリル
道具がなくても取り組める簡単ドリルを紹介。初心者でも短時間でフォームの安定性を向上できます。
5-1. 足踏みスローモーションドリル
構えた状態で前後左右に足踏みを繰り返し、上半身を動かさずに済むバランス感覚を養います。最初はゆっくり、慣れたらリズムを速めてチャレンジしましょう。
5-2. 擬似ストローク“壁当て”ドリル
壁から約10cmの距離でブリッジを作り、キュー先端を壁に軽く当てながらストローク。壁との接点だけを目安に、頭と上半身の固定を確認できます。
まとめ:姿勢安定でビリヤードの精度が飛躍的にアップ
「ビリヤード初心者の姿勢安定法」を網羅した本ガイドで、基本のスタンス、上半身の固定、重心移動、失敗パターンの修正法、ドリルまでを解説しました。
まずは鏡や動画で自分のフォームをチェックし、紹介したドリルを日々の練習に取り入れてください。姿勢が安定すれば狙いどおりのショットが増え、ビリヤードの楽しさがさらに広がります。

