柔道の稽古を始めるにあたって、最初に戸惑うのが「柔道着(道着)の正しい着方」です。サイズ選びを間違えると動きにくくなり、帯の結び方が崩れると見栄えも悪くなります。
本記事では、道着選びのポイントから着付け手順、帯の締め方、稽古前後のお手入れまでを丁寧に解説。初心者のあなたが慌てず美しく道着を着こなし、自信を持って稽古に臨めるようサポートします。
1. 柔道着の基本構造とサイズの選び方
柔道着は上着(上衣)、ズボン(袴)、帯(帯紐)の三点セットで構成されます。初心者はまず、自分の身長と体型に合ったサイズを選ぶことが重要です。
1-1. 上着の寸法と袖丈
上着は身長マイナス10~15cm程度のものが目安で、袖丈はリーチの半分をカバーする長さが理想です。袖が長すぎると手首が隠れて動きづらく、短すぎると手首を痛める恐れがあります。
1-2. ズボンの丈とウエストサイズ
ズボンはくるぶしが隠れる程度の丈が適切で、ウエストは帯で締める前提で少し大きめを選んでも問題ありません。動きやすさを優先し、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできるか試着時にチェックしましょう。
2. 上着の着付け手順──襟の重なりと体型フィット
上着を着る際は、襟元の合わせ方や裾の長さに注意が必要です。不適切な着方は稽古中の不快感や隙間風の原因となります。
2-1. 左前身頃を重ねる理由
柔道着は伝統的に「左前合わせ」(裏襟が右)で着用します。左身頃を右身頃の上に重ねることで、前方から見たときに内側の襟が隠れ、見た目がすっきりするだけでなく、受け身や投げ技の際に相手の襟を掴まれにくくなります。
2-2. 襟の高さと首回りのフィット感
襟は首の後ろに心地よく沿う程度の高さを保ち、前襟が鎖骨の中央をやや隠す位置がベスト。首回りが緩すぎると稽古中にずれやすく、きつすぎると呼吸や首の動きを制限しますので、鏡を見ながら微調整しましょう。
3. ズボンの履き方──裾と紐の調整ポイント
ズボンは腰に巻く紐の締め方と裾の長さがポイントです。正しい履き方で、踏みつけや裾の引きずりを防ぎます。
3-1. 紐の結び方と締め付け具合
ズボンの腰紐は、前に一度交差させた後、両端を後ろに回して前で蝶結びにします。お腹が苦しくない程度にしっかりと締め、稽古中にズボンがずり落ちないように調整しましょう。
3-2. 裾の長さ調整
裾は足首を覆う長さが目安です。長すぎる場合は裾を折り返すか、軽くロールアップして稽古に支障がないように整えます。裾の引きずりは事故や転倒につながるため、必ず確認してください。
4. 帯の結び方──見栄えと緩みにくさを両立
帯は稽古中に最も目につくアクセサリー。美しい結び目を作ることで、所作全体が引き締まって見えます。
4-1. 一重巻きと二重巻きの違い
初心者はまず一重巻きから始めます。帯を腰に一周させた後、前で一度結び、余った帯をさらに腰に巻き戻して二重にすると、緩みにくくなる二重巻きになります。寒い季節や激しい稽古時には二重巻きをおすすめします。
4-2. 美しい蝶結びのコツ
帯を蝶結びにする際は、結び目を中央に揃え、帯の幅が均一になるように心がけます。輪の大きさを左右均等にし、端が垂れ下がらないように軽く折り返しておくと、見た目も美しく、緩みにくくなります。
5. 初心者がやりがちなNG着付けとその修正方法
慣れないうちは誰でも細かなミスを犯しがちです。よくある失敗例と簡単な修正ポイントを押さえましょう。
5-1. 左右非対称の襟合わせ
襟がずれて左右非対称になると、姿勢が崩れやすく見た目も不格好です。左右の襟先が垂直に並ぶよう、両手で襟元を軽く引きながら鏡でチェックしましょう。
5-2. 帯が腰で回らずしわが寄る
帯の長さが足りないとしわが寄り、腰回りに違和感が生じます。帯を選ぶ際は自分の体格に合った長さを選び、必要であれば少し長めの帯を購入することをおすすめします。
6. 稽古前後のお手入れ──長持ちさせるメンテナンス術
道着は稽古の激しい動きで汗や摩擦にさらされます。正しい洗濯・乾燥方法で清潔に保ちましょう。
6-1. 洗濯時の注意点
色落ちを防ぐため単独で洗い、柔軟剤は使用せず、洗剤は中性タイプを選ぶのがポイント。洗濯ネットに入れて優しいモードで洗うと、生地のダメージを抑えられます。
6-2. 乾燥と収納
陰干しでゆっくり乾かし、直射日光は避けて生地の劣化を防ぎます。完全に乾いたら肩部分を折り返して立てて収納すると、シワが付きにくい状態で保管できます。
まとめ:美しい道着の着こなしで稽古に自信を持とう
柔道着の着方を網羅した本ガイドでは、サイズ選びから上着・ズボンの着付け、帯の結び方、よくある失敗と修正、お手入れ方法までを詳しく解説しました。
美しく正しく道着を着こなせれば、稽古にも一層集中でき、気持ちも引き締まります。初心者のうちに正しい着方を身につけ、自信を持って柔道の世界に飛び込みましょう。

