- OB会幹事の役割を正しく理解する(初めての不安を“段取り”で解消)
- 全体像とタイムライン(いつ・だれが・何をするか)
- 参加者データと連絡網の整え方(情報は最小で正確に)
- 会場・飲食・備品の決め方(“時間差”と“段差”を消す)
- 案内文・当日アナウンスの書き方(テンプレから微調整)
- プログラム設計:時間配分と“場の温度”を上げる仕掛け
- 会費設定と精算のコツ(赤字にしない・揉めない)
- 当日の運営:受付・司会・撮影・クレーム対応まで
- リスク管理:ドタキャン・遅刻・体調不良・機材不調
- 終了後の“余韻設計”と次回への布石
- よくある失敗と回避策(初めての幹事がつまずくポイント)
- まとめ:OB会は“設計→共有→実行→報告”のリズムで回る
OB会幹事の役割を正しく理解する(初めての不安を“段取り”で解消)
初めてOB会の幹事を任されると、いつから何を始めればいいのか、だれに何をお願いすればよいのかが見えにくく、不安になりがちです。幹事の仕事はイベント実務だけではありません。
目的の明文化、参加対象の定義、収支と合意形成、そして“また来たい”と思ってもらう体験設計までが守備範囲です。この記事では、準備開始〜事後報告までの全工程を時系列で具体化し、使い回せる型を提示します。
全体像とタイムライン(いつ・だれが・何をするか)
OB会は“逆算設計”が成功の鍵です。日程・会場・予算・告知・当日運営・精算の6要素を並行で進めると、漏れが減ります。規模や地域によって差はありますが、初幹事なら3〜4か月前からの着手が安心です。幹事ひとりで抱え込まず、サブ幹事・会計・広報と役割を分けると意思決定が速まります。
3〜4か月前:目的定義と骨子決め
まずは開催目的(交流・表彰・現役支援など)を1文で言語化し、対象範囲と想定人数、開催形式(対面/オンライン/ハイブリッド)を決めます。あわせて“幹事チーム”を確定し、意思決定ルール(多数決・主幹事決裁など)を共有しましょう。
2〜3か月前:会場・日程の確定と概算予算
候補日を2〜3つ用意し、主要メンバーの参加可否を先に確認。会場はアクセス・収容・音響・予算・キャンセル規定の5点で比較し、仮押さえ→正式予約の順で進めます。会費は**会場費+飲食+備品+雑費+予備10%**を基準に設定し、学生・現役・シニアなどの区分料金を検討します。
1〜1.5か月前:一次告知と出欠収集
出欠の一次締切を設定し、案内文を送付。返信状況が見えれば、料理数量や席配置の精度が上がります。返信が鈍い場合は、卒年・部署単位の「呼びかけ役」を立てて波及させると効果的です。
2〜3週間前:プログラム固めと当日導線
司会進行表、来賓挨拶、乾杯、記念撮影、表彰、近況発表、現役からの報告などを時刻入りで確定します。受付〜会場〜二次会の導線を紙1枚に図示し、スタッフ配置・備品リストまで落とし込みます。
当日〜翌週:運営・精算・振り返り
当日は受付・会計・案内・撮影・司会の役割を最終確認し、終了後は速やかに仮精算と写真共有、アンケート回収。1〜2週間内に収支報告と次回への提案(候補日・幹事交代計画)を送ると“継続”が生まれます。
参加者データと連絡網の整え方(情報は最小で正確に)
OB会は年代・地域が広いため、連絡手段の複線化が重要です。メール、メッセージアプリ、電話、郵送の“最低二系統”を持ち、返信フォームはスマホ完結を前提に。個人情報の取扱いは目的限定・期間限定を明示し、参加者一覧は必要最小限(氏名・卒年・連絡先・出欠)に絞ります。
出欠フォームで聞くべき項目
- 氏名(ふりがな)/卒年・所属
- 連絡先(メール・電話)
- 出欠(一次・二次会別)
- アレルギー・配慮事項
- 発表希望(1分スピーチなど)
会場・飲食・備品の決め方(“時間差”と“段差”を消す)
会場選定は、アクセス(最寄り駅から徒歩)と音響の聞き取りやすさが最重要です。高天井・硬い床は反響で声が飛びやすいため、マイク本数や配置を事前確認。受付動線は“並びやすさ>華やかさ”で設計し、名札は到着順に取りやすい並びにして混雑を減らします。
飲食は挨拶直後に“手元に一品”があると場が温まるため、最初の提供タイミングを会場側と合わせておきましょう。
必須備品の基準(抜けやすい順)
- 受付:釣銭、会費リスト、名札、ペン、予備マスク
- 進行:マイク(予備電池)、タイムキーパー用時計、ベル
- 記録:集合写真の脚立、スナップ担当、著作権対策のBGM
- 表示:会場案内、席次表、プログラム、クローク札
案内文・当日アナウンスの書き方(テンプレから微調整)
初めての幹事こそ“型”が武器になります。招待文は**「趣旨→日時・会場→会費→申込方法→締切→問い合わせ」**の順で簡潔に。件名の先頭に【OB会案内/○○期】など識別子を付けると開封率が上がります。
当日アナウンスは“時刻+行為+場所”の3点セットで、司会・受付・会場スタッフが同じ言い回しを使うと迷子が減ります。
招待文ミニテンプレ
件名:【○○OB会】開催のご案内(開催日:○月○日)
本文:平素よりお世話になっております。○○OB会 幹事の△△です。下記の通りOB会を開催いたします——(以下、要素を箇条書き)。
プログラム設計:時間配分と“場の温度”を上げる仕掛け
同窓・同門の集まりは“再会”が主役です。挨拶や報告は短く切り、歓談と写真の時間を厚めに。写真は序盤に集合→中盤に卓ごと→終盤は任意の三段構成にすると、欠席者が出にくくなります。スピーチは1人1分・最大10人など上限を設け、タイムキーパーが目に入る位置に立つと締まりが出ます。
進行サンプル(120分想定)
- 00:00 受付・名札配布/ウェルカムドリンク
- 00:10 開会・趣旨説明・来賓紹介
- 00:20 乾杯・歓談①(料理提供)
- 00:40 集合写真→歓談②
- 01:10 ミニ表彰・近況スピーチ(1人1分)
- 01:35 次回案内・幹事引継ぎ
- 01:50 中締め/連絡事項
- 02:00 終了・二次会案内
会費設定と精算のコツ(赤字にしない・揉めない)
会費は「見積+10%の余裕」を基準に、余剰が出たら次回繰越または寄付・値引きに回す旨を事前明記します。集金は受付集中方式がトラブル少。釣銭は1,000円×30枚、500円×20枚を初期配置の目安に。
キャッシュレスを併用する場合は、手数料と名義管理を会計と共有しておきます。領収書は代表名でのまとめ発行にし、個別が必要な方には会後の電子発行で対応すると列が短くなります。
当日の運営:受付・司会・撮影・クレーム対応まで
受付は来場ピーク−10分が最混雑。名札は五十音や卒年順に並べ、会費徴収と同時に席次の案内を行います。司会は“今、何が起きているか”を一言で要約するだけで場が締まります。
撮影は逆光を避け、照明の真下を避ける配置が基本。クレームは共感→事実確認→代替案→再確認の4ステップで即応し、幹事長と会場担当の連絡ラインを一本化します。
リスク管理:ドタキャン・遅刻・体調不良・機材不調
遅刻・欠席の連絡窓口を一本化し、料理キャンセルの制限時刻を事前共有。体調不良時の退出導線(エレベーター、出口、近隣の医療情報)をスタッフ内で把握します。マイク不調に備え、**司会が“地声で通る位置”**のバックアップ導線を用意しておくと安心です。
終了後の“余韻設計”と次回への布石
写真共有は当日中にダイジェスト1枚を先に出すと参加者の満足度が上がります。1週間以内に収支報告・参加御礼・アンケート(所要1分)を送付し、次回候補月と幹事募集を軽くアナウンス。幹事マニュアル(本記事の骨子を反映)をクラウド保存しておくと、次回幹事が即スタートできます。
事後報告に入れるべき要素
- 参加者数(申込/来場)・会費・収支概要
- アンケート結果の要点(満足点/改善点)
- 次回候補時期・幹事募集案内
- 写真アルバムの案内(パスワード付きで)
よくある失敗と回避策(初めての幹事がつまずくポイント)
“連絡が届かない”は典型的な課題です。件名先頭の識別と再送タイミング(初回+3日後+締切前日)をルール化しましょう。“当日押す”は進行の宿命ですが、集合写真の時間は死守を徹底。写真がないと回顧の熱量が続きません。
“会費トラブル”は会計の透明化で回避できます。事前の費目公開と、当日掲示で疑義を先回りして潰しましょう。
まとめ:OB会は“設計→共有→実行→報告”のリズムで回る
OB会幹事は、特別なテクニックよりも型通りの段取りが決め手です。目的を一文で定義し、3〜4か月前から逆算。会場・予算・告知・当日運営・精算・報告を小分けに進め、関係者と情報を“同じ紙”で共有すれば、初幹事でも抜け漏れなく運営できます。
今日紹介したタイムライン、案内テンプレ、備品基準を土台に、次回以降は微調整するだけ。再会の喜びが続く“また行きたいOB会”を、あなたの段取りで実現させましょう。

