- 「進行スライド例」は“場の設計図”——構成と狙いを先に決める
- 台割テンプレ(基本骨子)——最小12枚で破綻しない
- 90分版の「進行スライド例」——短時間でも学びが残る設計
- 120分版の「進行スライド例」——発表と対話を厚めに
- 180分版の「進行スライド例」——講義+演習+レビューを回す
- スライドごとの文言サンプル——司会がそのまま読める
- デザイン原則——読みやすさが最優先
- ファシリ用スピーカーノート——言い回しのテンプレを仕込む
- オンライン/ハイブリッドのスライド工夫——“見えない合図”を可視化
- 配布物・ボードとリンクする——視線の往復を最短に
- よくある失敗とスライド側の予防策
- 仕込みと撤収のチェック(必要箇条書きのみ)
- そのまま使える「スライド見出し」カタログ(差し替えOK)
- まとめ——“順番・言葉・見え方”を固定すれば初心者でも回せる
「進行スライド例」は“場の設計図”——構成と狙いを先に決める
ワークショップの出来は当日のアドリブではなく、進行スライドの設計で8割が決まります。初心者向けほど、参加者が迷わない道しるべが必要です。
まず“目的・成果物・評価基準”を1枚に凝縮し、続くスライドで流れ、ルール、時間割、役割を宣言する構成にすると、開始直後から場が安定します。この記事では、実際に使えるスライド見本と、話す言葉・時間配分・デザインの勘所を一気通貫で提示します。
台割テンプレ(基本骨子)——最小12枚で破綻しない
最小構成でも、参加者が「何を」「いつまでに」「どうやって」やるかが即わかることが肝心です。スライド枚数は増やせますが、核となる順番は崩さないでください。
12枚の基本台割(例)
- タイトル/本日のゴール
- 目的・対象・期待成果
- 成果物サンプル(写真 or 図)
- 進め方(導入→発散→整理→収束→決定→ふりかえり)
- 時間割(タイムテーブル)
- ルール(話す・聞く・記録・時間)
- アイスブレイクのやり方
- 発散のやり方(書いてから話す/付箋)
- 整理のやり方(無言グルーピング・命名)
- 収束のやり方(2×2・ドット投票)
- 次アクションの書き方(担当・期日・測り方)
- ふりかえりフォーム/クロージング
90分版の「進行スライド例」——短時間でも学びが残る設計
90分は“触って学ぶ”最低限の尺です。情報量を削り、体験の密度を高めます。各ブロックの頭で「何を・何分で・どんな手順で」やるかを必ず表示し、口頭説明に依存しない構成に整えます。
90分タイムテーブル例(スライド挿入の目安)
- 00:00–00:05 ゴール宣言(#1〜#6)
- 00:05–00:10 アイスブレイク(#7)
- 00:10–00:25 発散(#8)
- 00:25–00:35 整理(#9)
- 00:35–00:45 収束(#10)
- 00:45–00:55 次アクション具体化(#11)
- 00:55–01:00 ふりかえり・締め(#12)
120分版の「進行スライド例」——発表と対話を厚めに
120分あれば、発散と整理に余白を作れます。見せ場である“共有・発表”の手順をスライドに独立させ、発表者も聴衆も迷わない導線をつくります。写真や事例を1〜2枚足し、初心者が“正解の形”を視覚で掴めるようにしましょう。
追加スライドの例
- 発表ルール(1人2分/質問1分/評価語は使わない)
- 事例ギャラリー(成功パターンの図解)
- よくある失敗と回避例(詰め込み・抽象化・時間超過)
180分版の「進行スライド例」——講義+演習+レビューを回す
180分ではインプットを20〜30分挿入できます。講義パートは“理論→型→使い方→失敗例”の順で、すぐ後ろに演習の指示スライドを置き、学ぶ→試すのリズムを保ちます。レビューの観点(SBIで返す、事実・行動・影響)をスライドで固定すると、学びの質が一気に上がります。
スライドごとの文言サンプル——司会がそのまま読める
見出しは短く、本文は箇条書き最小限に。参加者の視線は“見出し→太字→図→本文”の順に流れるため、重要語を太字で固定し、動詞始まりで行動を促します。
#2 目的・対象・期待成果(例)
- 目的:現場の待ち時間を半減するアイデアを出し、上位3案に絞る
- 対象:初心者/進行未経験者
- 成果:A3キャンバス1枚+次アクション1つ
#6 ルール(例)
- 批判しない/同時に話さない/時間を守る/可視化を残す
- 迷ったら司会に合図。脱線は“駐車場”にメモして後半で回収
#10 収束(例)
- 2×2:縦=効果/横=容易性
- ドット投票:1人3票・同一点可・黙読30秒の後に投票
デザイン原則——読みやすさが最優先
初心者向けは装飾過多より“構造の明確さ”が勝ちます。文字は見出し28pt以上、本文は20pt程度を基準にし、行間を広く取って呼吸をつくります。
色は背景を白かごく薄いグレーに固定し、強調色は1色だけ。図表は“左論点・右指示・下部に時間”の定位置を守ると、スライドが変わっても迷いません。写真は1枚に1主題、人物の視線が内側を向くものを選ぶと集中が保たれます。
ファシリ用スピーカーノート——言い回しのテンプレを仕込む
スライドは“場の脚本”でもあります。ノート欄に言い回しの定型を入れておくと、緊張しても質が落ちません。
導入では「今日は試す日です。正解探しより、一次案を出すことを優先します」。発散では「まず書いてから話すので、静かな時間を3分取ります」。収束では「決め方を先に決める。効果×容易性で配置し、3票で選びます」。締めでは「2週間以内の一歩を各自宣言して終了です」。
オンライン/ハイブリッドのスライド工夫——“見えない合図”を可視化
オンラインは合図が届きにくいため、スライドの右上に“現在のモード(説明/個人/ペア/全体)”アイコンを常時表示します。ブレイクアウトでは、スライドに「目的・アウトプット・戻り時間・進行手順」を一枚にまとめて共有し続けます。
発言順やチャット投稿のフォーマット(「案:○○/理由:○○」)もスライド化すると、初めての参加者でも迷いません。
配布物・ボードとリンクする——視線の往復を最短に
スライド#11の“次アクション書き方”は配布のA3キャンバスと同じ項目順にします。スライドと紙面が一致していれば、司会が説明しなくても手が動きます。2×2マップはスクリーンのレイアウトをボードと合わせ、写真撮影の位置も最初に指定しておくと、記録が均一に残ります。
よくある失敗とスライド側の予防策
説明過多で発散時間が削られるのは典型です。各ブロックの頭に“終了時刻”を大きく表示し、3分押したら自動的に次へ進むルールをスライドに明記します。抽象論に流れる場には、事例写真とチェック項目を1枚挟むだけで具体に戻れます。
声の大きい人が主導する場合は、“無言整理→命名→読み上げ”の手順をスライドで固定し、言葉ではなく手を動かす時間を増やします。
仕込みと撤収のチェック(必要箇条書きのみ)
- タイマー・マーカー・付箋・マスキングテープ・名札
- 2×2用ボード/A3キャンバス/ドットシール
- 予備PC・アダプタ・クリック器/オンライン用テンプレ画面
- ふりかえりフォームQR/写真共有の合言葉
- 進行スライドのPDF版(配布・投影どちらでも使える)
そのまま使える「スライド見出し」カタログ(差し替えOK)
- 本日のゴール/今日の成果物
- 進め方と時間割
- ルール(話す・聞く・記録・時間)
- アイスブレイクのやり方
- まずは書く→話す(発散)
- 無言でまとめる→名付ける(整理)
- 2×2で地図化→3票で選ぶ(収束)
- 上位案の要件出し(誰に・どこで・いつまでに)
- 2週間以内の一歩(担当・期日・測り方)
- ふりかえり:学び・発見・次の一歩
まとめ——“順番・言葉・見え方”を固定すれば初心者でも回せる
「ワークショップ 初心者向け 進行スライド例」は、手法の羅列ではなく“順番・言葉・見え方”の設計です。目的・成果物・時間割・ルールを先に掲げ、発散→整理→収束→決定→ふりかえりの筋をスライドで支えれば、初めてでも場は前に進みます。
ここで紹介した台割と文言を土台に、固有名詞と写真を差し替えるだけで、あなたのワークショップに最適化できます。準備の解像度が、当日の熱量を決めます。まずは12枚の最小構成から着手し、回を重ねるごとに磨いていきましょう。

