フットサル審判ルールブック完全マスターガイド｜審判員の役割から判定基準、試合運営まで徹底解説

フットサル審判は試合の公正性を担保する中枢的存在であり、ルールブックに則った判定を迅速かつ正確に下すことで試合の流れをスムーズにします。プレー中は選手や観客の注目が集中するため、判断に迷いが生じるとトラブルや抗議を招きやすく、試合環境全体の質が低下するリスクがあります。

本ガイドでは、日本フットサル連盟（JFA）や国際フットサル連盟（AMF）公認の最新ルールをベースに、審判員が習得すべき基本動作から細かな判定基準、試合前後の運営ノウハウまでを網羅的に解説します。

ルールブックの基本構成

フットサルルールブックは大きく「試合規定」「プレー規定」「審判員規定」「管理・運営規定」の４章に分かれています。試合規定ではコートサイズや用具、選手数など大枠の規則を定め、プレー規定では反則行為や得点の方法、再開方法などを詳細に規定します。

審判員規定には審判のポジショニングや合図方法、試合報告などの手順がまとめられており、運営規定では試合申請・結果報告から安全対策までが記載されています。

審判員は公式ユニフォームのほか、ホイッスル、イエローカード・レッドカード、ペン、ノート、時計（ストップウォッチ機能付き）が必携です。

試合開始前には、ホイッスルの吹き心地、時計の動作確認、ペンのインク残量を必ずチェックし、カード類のジャケットポケットへの収納場所も確定させます。さらに、コートラインやゴールポスト、ボールの状態を一通り確認してから選手入場を許可しましょう。

主審と副審は、試合前にミーティングを行い、ポジショニング、ファウル時の責任分担、合図方法、特別ルール（タイムアウト、ペナルティースロー）などを再確認します。副審間では互いの視野を重複させずにカバーする位置取りを決め、コミュニケーション方法（手信号や口頭連携）のルールを統一します。

審判全員が同じ判定基準で判断できるように、細かなポイントを共有しておくことが公正性を担保する鍵です。

フットサルではコートが狭いため、主審は常にペースメーカー的に選手に近づきつつラインを斜めから俯瞰するポジションを意識します。副審はタッチライン沿いを移動し、オフサイドはないもののラインアウトの判定やリスタート位置を正確に見極める役割を担います。

3人制の公式審判の場合は、もう一人の副審と連携しながら、両サイドともに均等に視野を確保できるよう移動ルートをあらかじめ決めておきましょう。

フットサル特有のチャージングやピポティングなどは、力の入れ具合や当てる部位によって反則の程度が変化します。主審はプレー継続が有利と判断される場合には「アドバンテージ」を適用し、ボールが危険な位置にないかを瞬時に評価します。

反則時はボールが相手選手に明確にコントロールされたタイミングで吹哨を鳴らし、的確に反則位置を指示して再開の準備を促します。

イエローカードとレッドカードの基準は「軽微な不正行為」と「重大な不正行為」に大別され、連続したイエローでの退場や暴言・暴力行為は直ちにレッドカードです。

交代申告時や選手・監督・コーチにカードを提示した際には、その都度ノートに行為の時間帯、選手番号、カード種別を記録し、試合終了後の公式報告書に正確に記入します。

フットサルではゴールクリアランス、コーナーキック、キックイン、スローインに加え、ペナルティースローやタイムアウト再開が存在します。タイムアウトは各チームに1回45秒以内で認められ、試合の流れを切らずに戦術変更を促す有効な手段です。

審判はタイムアウト中に時計を停止し、再開合図とともに時計をスタートさせる正確な手順を遵守します。

公式時計は主審が担当し、選手交代やタイムアウト時には必ず一時停止し、再開吹哨と同時に動かします。副審やタイムキーパーがいる場合は、主審との視覚的合図とともに操作を任せ、誤差が生じないよう試合前に動作確認を行いましょう。

時計の誤操作は試合結果を左右する重大なミスとなり得るため、集中力を切らさないことが求められます。

試合終了後は、公式報告書への記入が義務付けられており、試合会場、日付、両チーム名、得点、退場者情報、警告・退場理由などを漏れなく記載します。問題が発生した場合や疑義があった判定については備考欄に具体的な状況を記録し、連盟へ適切に報告してください。

翌日のトレーニングや上位審判講習会でフィードバックを受け、自己の判定精度や運営スキルを継続的にブラッシュアップしましょう。

ファウルやカードに関する抗議があった際は、感情的にならず冷静に相手の声を聞いた上で、ルールに沿った説明を簡潔に伝えます。審判同士で「三者協議」を行う場合は、試合の流れを止めず、短時間で合意できる範囲にとどめることが大切です。

円滑なコミュニケーションができれば、関係者の信頼を得て試合進行も格段にスムーズになります。

フットサル審判員はルールブックの理解と実践経験を積み重ねることで、判定の正確性と試合運営スキルを向上させられます。

公正中立の立場を守りつつ、選手や指導者、観客に信頼される存在として活躍するためにも、継続的なルール改正の把握と自己研鑽が欠かせません。本ガイドを参照し、次の試合で「安心・安全・スムーズ」な試合運営を実現してください。