ビハインド・ザ・ボール(背後の動き)は、フットサル特有の狭いコートで味方へのパスコースを創出し、相手ディフェンスを揺さぶる重要な技術です。ボール保持者の後方からサポートに入ることで、数的優位を作り出したり、相手のラインを引き伸ばしてスペースを生むことができます。
本記事では、背後への動きを基本から応用まで段階的に解説し、実戦で即戦力となるポイントをお伝えします。
ビハインド・ザ・ボールの基本概念
フットサルでは、瞬時の方向転換とポジショニングが勝敗を分けます。ビハインド・ザ・ボールとは、ボール保持者の視野外に回り込まず、斜め後方の角度をキープしながらサポートに回る動きを指します。
この位置取りにより、ボール保持者は後方にもパスオプションを持て、相手のプレスをいなしつつゲームを組み立てやすくなります。
角度と距離の取り方
ビハインド・ザ・ボール時は、ボール保持者との距離を約3~5m、角度を45~60度に保つのが理想的です。近すぎると相手プレスを受けやすく、遠すぎるとパスが通りにくくなります。斜め後方の角度を維持しながら常にボールと相手ディフェンスを“コントロール”している意識を持ちましょう。
ドリル①:2コーンドリルで視野拡大
コートの中央に2つのコーンを設置し、パス役と動き役に分かれます。動き役はコーン間を斜め後方に移動し、受け手としてパスを呼び込みます。パス役は動き役の位置を意識し、戻り過ぎずに適切な角度でコースを通す練習です。
ドリルを反復することで、斜め後方への動き出しと同時に周囲の状況を把握できる視野が養われます。
ドリル②:3人組ワンツーからの背後侵入
3人組でワンツーを行いながら、3人目が背後に侵入するトレーニングです。味方AがBにパスし、BはワンタッチでAに返球。その瞬間にCが斜め後方から駆け込み、Aからのスルーパスを受け取ります。速いテンポで連携することで、実戦に近い状況下でのビハインド・ザ・ボール動作を体得できます。
戦術への応用:スペースを引き出す動き
サイドチェンジ時の背後サポート
コート幅を使ったサイドチェンジでは、パサーと受け手が背中合わせにならないように斜め後方を確保します。これにより、パスが通った直後に相手の密集を避け、スムーズにゲームを展開できます。サイドチェンジは相手全体を一瞬で移動させる戦術で、ビハインド・ザ・ボールが成功の鍵となります。
プレッシング回避とカウンター準備
相手の前線プレスを受けた際、背後への動きで数的優位を作り出すと同時に、相手の背後スペースを意識してカウンター態勢を整えられます。ビハインド・ザ・ボールでボール保持者の視野を広げ、数的優位を確保した状態で縦パスを送り込むことで、速攻へとつなげることが可能です。
メンタル面:決断力と自信の磨き方
背後への動きは、スペースが見えにくい状況下でも瞬時に判断を下す決断力が求められます。練習では常に「次のパスコース」をイメージし、成功したプレーを繰り返し思い描くメンタルトレーニングを取り入れましょう。
試合中は常に「サポートをする」という使命感を持ち、躊躇なく背後へ飛び込む自信を醸成してください。
フィジカル強化:斜めダッシュと方向転換
背後移動には、斜めの加速力と切り返し時のバランスが不可欠です。ラダードリルでクロスステップ、斜めステップを取り入れ、0→3mの斜めダッシュを反復しましょう。また、コーンを置いて方向転換ドリルを行い、切り返し時の重心移動と脚部の安定性を高めることが、動きの質を向上させます。
ケガ予防とウォームアップ
ビハインド・ザ・ボール動作で多用される内転筋やハムストリングは、股関節周りのストレッチで柔軟性を確保します。動的ストレッチとしてサイドランジや股関節ローテーションを十分に行い、プレー前に血流を良くして筋肉の柔軟性を高めることで、ケガのリスクを抑制できます。
まとめ:背後の動きでフットサルを制す
ビハインド・ザ・ボールの動きは、狭いフットサルコートでこそ威力を発揮するテクニックです。基本ドリルで角度と距離の感覚を磨き、応用トレーニングでチーム戦術に組み込み、メンタル・フィジカル両面を強化することで、一歩先を行くプレーヤーへ成長できます。
本ガイドを参考に、次の練習から背後への動きを意識し、試合でのアシストやゴールチャンスを増やしましょう。

