フットサルにおいてボールの下に潜り込む“アンダー・ザ・ボール”動きは、狭いコートで重宝される基礎テクニックです。相手のプレスを回避しつつ正確なトラップやパス、シュートを可能にし、攻守のリズムを一気にコントロールできます。
本記事では、ボール取りの瞬発動作から視野の確保、応用ドリル、戦術組み込みまでを段階的に解説し、誰でも即戦力として習得できるノウハウをお届けします。
アンダー・ザ・ボールの基本原理
アンダー・ザ・ボール動作とは、ボールが浮いた状態やバウンド直後に、身体をボールの真下に滑り込ませることでコントロールするテクニックです。身体を低く、重心を前方に置く姿勢がキモで、適切に行えば相手のスライディングプレスやチャージを受け流しながらワンタッチで次の動作に移れます。
低重心の取り方と視野確保
まずは肩幅より少し広めに足を開き、膝を深く曲げて腰を落とします。この低い姿勢によってボールの下に素早く潜り込めるようになり、同時に上体を起こすことで周囲のスペースと味方の位置を確認しやすくなります。頭は上げて常にコート全体を俯瞰する意識を持ちましょう。
ドリル①:壁反射アンダー・ザ・ボール練習
壁を1~2m前方に設置し、ボールを壁に向かって軽く蹴り返します。ボールが跳ね返ってきた瞬間に身体をボールの下に滑り込み、インサイドやインステップでアンダー・ザ・ボールトラップ。そのままワンタッチで反対方向にパスし、リズムを崩さずに続けます。
初めはゆっくりと、慣れてきたら強めのリターンで回数を増やし、反応速度と安定感を高めましょう。
ドリル②:コーンドリル×アンダー・ザ・ボール
コーンを等間隔に5~7本並べ、ドリブルでコーンをジグザグに抜けながら、コーン正面でボールを一度浮かせ、アンダー・ザ・ボールトラップを実践。浮き球への対応力を鍛えつつ、切り返しと組み合わせることで実戦的な状況判断力を磨きます。
コーン間隔は慣れるごとに狭め、スピードと精度の両立を目指しましょう。
戦術への応用:アンダー・ザ・ボールで試合を制す
プレス回避からのカウンター起点
相手の激しいプレスを受けた際、アンダー・ザ・ボールでワンタッチコントロールしながらサイドや裏を狙う縦パスを送り込めば、一気に数的優位を作り出せます。
特に、相手が前掛かりになった瞬間を狙って柔軟に動けば、相手守備陣形を一瞬で崩し、カウンターの起点を自分で作り出せるのが最大の強みです。
ワンサイドゲームでのポジショニング
ボールキープ時、味方がサイドを開いて攻撃を仕掛けるためには、アンダー・ザ・ボールで体を張りながらコースを確保しつつ、反対サイドへ展開するパスやスルーをスムーズに供給する必要があります。
背後スペースへの動きと組み合わせることで、守備を引き伸ばし、味方の動き出し時間を作り出します。
メンタル面:躊躇なく身体を投げ出す勇気
アンダー・ザ・ボールは身体を地面に近づける動作を伴うため、相手との接触や転倒のリスクがあります。練習では必ずプロテクション装備(膝パッドやエルボーパッド)を用い、少しずつ身体を慣らしていくことが大切です。
また、成功イメージを反復して頭のなかでシミュレートし、試合中でも迷わずに身体を投げ出せる自信を養いましょう。
フィジカル強化:爆発的な瞬発力と柔軟性
身体を一気に低く落とし込む動作には、ハムストリングや大臀筋の瞬発力が求められます。スプリントドリルの一環として、「立ち→深いスクワットポジション→全力ダッシュ」を繰り返し行い、0→3mの加速力を高めましょう。
また、股関節周りの柔軟性を保つため、動的ストレッチ(ランジウォーク、ヒップサークル)を取り入れてケガ予防と可動域拡大を同時に図ります。
ケガ予防とウォームアップ
アンダー・ザ・ボール動作の前には、十分なウォームアップが必須です。下半身を中心に動的ストレッチを行い、特に股関節と膝周りの筋膜リリースをローラーで念入りに行いましょう。
また、ウォーミングアップドリルとして、低い姿勢からサイドステップやバックペダルを取り入れ、試合前に動作を再現して筋肉を目覚めさせます。
練習プラン例(一週間サイクル)
- 月曜(基本反復):壁反射30回/コーンドリル×アンダー20本/深いスクワットダッシュ×5
- 水曜(フィジカル):動的ストレッチ/ランジウォーク×20m/スプリントドリル×10本
- 金曜(応用連携):3人ワンツー+アンダー・ザ・ボールドリル/サイド突破演習
- 日曜(ゲーム形式):5対5ミニゲームで「アンダー・ザ・ボール使用率」を意識しながらプレー
まとめ:アンダー・ザ・ボールで一歩先を行くプレーヤーに
アンダー・ザ・ボール動作は、狭いフットサルコートでこそ真価を発揮する高度テクニックです。基本ドリルで反応速度と重心コントロールを磨き、応用連携や戦術組み込みで実戦力を高め、フィジカル・メンタル両面の強化を並行することで、誰でも習得可能です。
本ガイドを参考に、次の練習からアンダー・ザ・ボール動きを積極的に取り入れ、試合での突破口を自ら切り拓いてください。

