フットサルは短時間で激しいラン&ガンが繰り返される競技であり、体内の水分バランスが崩れると瞬発力、持久力、判断力が著しく低下します。適切な水分補給戦略によって、体温調節や血液循環が維持され、疲労感が軽減されるだけでなく、ケガのリスクも抑えられます。
本ガイドでは、試合前から試合後までの水分補給方法を科学的根拠に基づいて解説します。
水分喪失のメカニズムとリスク
フットサル中の主な水分喪失は発汗によるもので、エアコンが効いた屋内コートでも高い湿度と連続運動で多量の汗が出ます。脱水が進行すると、血液粘度が上がり心拍数が増加、酸素・栄養素の運搬効率が低下してパフォーマンスに直結します。
また、軽度の脱水でも認知機能と判断力が低下し、プレー精度のミスや接触事故のリスクが高まります。
発汗量の個人差と計測方法
同じ練習内容でも発汗量は個人差が大きく、体重減少を指標にプレー前後の体重を計測することで、1試合あたりの水分喪失量を簡易に把握できます。具体的には、試合前後の体重差1kgあたり1リットルの発汗とみなし、補給目標を設定します。
試合前の水分ロード戦略
試合当日の2~3時間前には、500~600mlの水分をゆっくりと摂取して体内水分を高い状態に保ちます。このとき、飲料は電解質を含むスポーツドリンクが理想的で、ナトリウム・カリウム・マグネシウムを補給しながら、細胞内外の水分バランスを最適化できます。
カフェインと利尿作用への配慮
覚醒効果を狙ってカフェイン入りドリンクを併用する場合、利尿作用で逆に脱水を招かないように、飲む量とタイミングを制御します。試合直前の過度なカフェイン摂取は避け、30分前までに200mg程度に留めるのが安全です。
試合中の補給タイミングと量
フットサルは連続プレーの中断が少ないため、20分に一度、100~200mlの小まめな補給を推奨します。特にハーフタイムでは300~400mlを目安に摂取し、電解質タブレットや軽食とともに取り入れることで、後半も安定したパフォーマンスを維持できます。
効果的な補給方法:スワロー vs スロットル
短時間で大量に飲む「スロットル」ではなく、小さく分けて飲む「スワロー」方式を用いると、胃腸への負担が軽減され、消化不良や不快感を抑えてスムーズに水分が吸収されます。
試合後のリカバリー水分戦略
試合後30分以内のリカバリー期には、失われた体重の150%を目安に水分を補給します。たとえば、1kg体重が減った場合は1.5リットルの水分を摂取し、電解質含有量が少し高めのリカバリードリンクや、塩分入りスープを併用すると効率的に体液バランスを回復できます。
利尿促進を抑える栄養素
ビタミンB群やマグネシウム、オメガ3脂肪酸を含む食品を組み合わせると、循環系の働きが安定し、不要な利尿を抑制しながらリカバリーを促進します。
日常トレーニングでの水分管理
練習日には練習前後の体重測定をルーティン化し、日々の発汗パターンを記録することで、個人に最適な水分補給量を把握します。特に夏場や高湿度環境では、練習前の500mlと練習中20分に100mlずつ、練習後の体重差分の補給を徹底しましょう。
デバイスとアプリを活用したモニタリング
ウェアラブルデバイスで心拍数や体表温度をリアルタイムに計測し、汗量推定機能を持つアプリと連携させると、練習中の水分補給タイミングをスマホ通知で案内できます。これにより、意識しなくても最適なタイミングで補給が行えます。
まとめ:戦略的水分補給で安定したプレーを
フットサルの激しい運動環境下で最大限のパフォーマンスを発揮し、脱水や熱中症リスクを抑制するには、試合前のロード、試合中の小まめな補給、試合後のリカバリー補給を一貫した戦略として実践することが不可欠です。
体重変動の計測、電解質バランスの維持、ウェアラブルモニタリングなどを組み合わせ、科学的根拠に基づいた水分補給プランを定着させましょう。

