フットサルはFIFA主導の国際ルールに基づいて運営される一方、各大陸や地域によって微妙に異なるローカルルールも存在します。
統一され0たIFDF（国際フットサル連盟）ルールを理解することは国際大会や親善試合で必要不可欠であり、同時に国内リーグやアマチュア大会での適用差異を把握することで審判・指導者・選手は混乱を防げます。
この記事では、FIFA/IFAB公式ルールをベースに、UEFA、AFC、CONMEBOLなど各大陸連盟ルールとの比較ポイントを詳述し、実務に役立つ違いを具体例を交えて解説します。
IFDF（FIFA）公式ルールの概要
IFDF（International Futsal Federation）はFIFA傘下のフットサル専門組織で、5人制競技の全世界共通ルールを定めています。コートサイズ、ボール特性、交代方法、ファウル累積、タイムアウト運用など、試合運営の基本を網羅しています。まずは公式ルールの主要ポイントを整理しましょう。
コート規格とボール仕様
フットサルコートは長さ25～42m、幅16～25m。ゴールサイズは3m×2m。使用ボールはラバー製・4号サイズでバウンドを抑えた「2nd bounce＝55～65cm」を維持し、反発力を最小限に抑えた設計です。
試合時間とタイムアウト
試合時間は前後半各20分（タイムストップ）。ハーフタイムは最多15分。各チーム1回ずつ1分間のタイムアウトが認められ、20分制の緊張感ある競技に短いリセットを挟めます。
交代・ファウル累積ルール
交代は「フライング交代制」を採用し、最大14名（男子）までベンチ登録可能。ファウルは累積制（6ファウル以上でフリースロー）で、第6ファウル以降は無人壁からのフリースローとなります。
大陸別ルール差異：主要4連盟の比較
FIFA公式ルールを基礎としつつ、各大陸連盟は地域事情や競技普及に合わせて細部を調整しています。以下ではUEFA（欧州）、AFC（アジア）、CONMEBOL（南米）、CAF（アフリカ）の主要特徴を比較します。
UEFAルールの特徴
欧州連盟UEFAはプロクラブのリエントリー制限や2ndボール管理に厳格です。フリースロー前の再開形式では、ボールを地面に置き直す「ケイヤースタイル」を推奨し、プレーをよりフェアに見せる工夫がなされています。
AFC（アジア）ルールの特徴
アジア連盟AFCはタイムアウトの追加実験や、累積ファウル数を7→5まで早期段階で警告を発するプロモーション規定を採用。一部大会では女性選手混合チーム枠を設けるなど地域大会に合わせた開催が特徴です。
CONMEBOL（南米）ルールの特徴
南米連盟CONMEBOLは試合時間延長のため10秒リリースゾーン（フリースロー後のキックイン制限）を導入し、逆転劇を演出しやすいルール運用に。加えて、イエローカード退場時の2分間ペナルティなど、エンタメ性を重視したアレンジが見られます。
CAF（アフリカ）ルールの特徴
アフリカ連盟CAFでは交代人数を無制限とし、若手育成を促す「U-21枠」登録を義務付ける試みが行われています。また、サブスティテューションエリアの設置方法が独自仕様で、審判・運営スタッフの配置もやや異なります。
審判運用とポイント解説
ルール差異以上に重要なのが審判運用です。国際大会ではVAR（ビデオアシスタントレフェリー）は未導入ながら、審判3名制を徹底し、線審はゴールライン補助担当としてボールイン・アウトを明確化。大陸大会では一部リージョンがモバイル端末で警告履歴を共有する実験を行っています。
ファウル判定の一貫性
累積ファウルのリセットタイミング（前半終了時のみか、前後半切り替えごとか）は、UEFAとAFCで異なる運用が見られるため、事前説明が必須です。
カード運用の差異
南米では「2分間退場」後に再度復帰可というシステムを採用し、一時的な人数差を演出する場合がありますが、UEFAやIFDF公式では撤廃傾向にあります。
国内リーグでの適用と実務対応
日本のFリーグは基本的にIFDFルールを踏襲しつつ、交代人数や累積ファウル累積数を6→5に短縮して警告を早める実験を実施。審判研修時には大陸別差異を教材に取り入れ、国際親善試合対応力を強化しています。
審判・指導者向けチェックリスト
- 試合前に「累積ファウルカウント方法」を全員で共有
- 交代エリアの位置と利用方法をベンチスタッフに周知
- フリースロー時のリリースゾーン運用を事前説明
まとめ：国際ルール理解がフットサル発展の鍵
フットサル国際ルールの比較は、単なる知識の差に留まらず、試合運営の品質向上や選手・スタッフの混乱回避につながります。IFDF公式ルールを基軸に、各大陸連盟のアレンジポイントをしっかりと学び、国内外の大会で適合力と競技理解を深めましょう。
