近年、テレワークとハイブリッドワークの普及により、ビデオ通話だけでは参加者の主体的な議論やアイデア創出が難しくなっています。そんな中、Google Jamboardはクラウド連携型の電子ホワイトボードとして注目を集めています。
付箋や手書き、図形、画像をキャンバス上で直感的に扱い、リアルタイムで共同編集できる機能が、従来の画面共有に代わる“共創の場”を提供します。
本記事では、Jamboardを使った会議運営の全ステップを解説します。
Jamboardの基本機能と特徴
JamboardはGoogle Workspaceに統合されたオンラインホワイトボードツールです。ブラウザやスマホアプリ、専用ハードウェアからアクセスでき、URLを共有するだけで複数人が同時に編集できます。
キャンバスには付箋(Sticky Note)、ペンツール、消しゴム、図形、テキスト、画像挿入といった基本ツールが揃い、Google ドライブとの連携でドキュメントやスライドをそのまま貼り付けることも可能です。
さらに、自動グリッド揃えやオブジェクト検出、AR対応の図形挿入機能など、ビジュアルコラボレーションをスムーズに支援する高度な機能も備わっています。
会議でJamboardを利用するメリット
Jamboardを会議に取り入れることで、参加者全員が同じビジュアル空間で議論できるようになります。発言権に偏りが出にくく、誰でも付箋や図形を自由に配置できるため、意見の多様性が高まりやすいです。
また、議論の履歴がキャンバス上に残るため、会議後の振り返りやタスク整理にそのまま活用できます。
さらに、Google MeetやChatとシームレスに連携することで、ビデオ会議中にJamboardを起動し、リアルタイムでアイデア出しを行うことが可能です。
リアルタイム共同編集で全員参加を実現
Jamboardは複数人が同時に同じキャンバスを操作でき、各参加者のカーソルや付箋が色分けされて表示されます。これにより、誰がどこに何を書き込んだかが明確になり、画面共有ベースの議論よりも深いコラボレーションが可能です。
リアルタイムにアイデアを重ねることで、短時間で多くのアイデアを生み出せます。
多彩なビジュアルツールで表現力を強化
ペンツールは線の太さや色を自由に変更でき、手書き感のあるラフスケッチでアイデアを表現できます。付箋は見出し付きで色分けでき、トピックごとの整理や優先順位付けに最適です。画像や図形をドラッグ&ドロップで配置し、直感的にビジュアルを強化できるのも大きなメリットです。
事前準備:Jamboardボード設計と共有設定
会議をスムーズに進行するためには、事前のボード設計が重要です。まず、Google ドライブ上で新しいJamboardファイルを作成し、ボード名を「プロジェクト名+会議日」として管理しやすい命名ルールを採用します。
次に、付箋や図形を配置するエリアをあらかじめフレーム(Jamのページ)ごとに決めておきます。例えば、1ページ目を「アイデア出し」、2ページ目を「整理・グルーピング」、3ページ目を「アクションプラン」に割り当てると、議論の流れが明確になります。
テンプレートとフレーム利用で議論を構造化
Jamboardにはテンプレート機能がないため、事前に独自テンプレートを作成しておくことが推奨されます。Google スライドでテンプレートを作り、それをJamboardにインポートするか、最初のJamに見出しとガイドを配置しておくと、参加者が迷わず作業できます。
また、ページ(フレーム)順に議論フェーズを区切ることで、タイムマネジメントも容易になります。
権限設定とリンク共有
JamboardはGoogle ドライブの共有設定に準じます。閲覧のみ、コメント可、編集可といった権限を適切に設定し、外部ゲストには閲覧権限のみを付与するなどセキュアに共有しましょう。
招待リンクはGoogle カレンダーの会議招待に貼り付け、参加者が事前にアクセスできるようリマインドを送るとよいでしょう。
会議中の運営:ファシリテーションと機能活用
会議開始時はホストがJamboardを画面共有し、使用方法を簡単にデモンストレーションします。付箋の追加、ペンツールの切り替え、画像挿入、コメントの付け方など、3分程度で操作感を掴んでもらいましょう。
ペンツールと付箋でアイデアを発散
ブレインストーミングでは、まずはペンツールで自由にスケッチしながらアイデアを描き出します。続いて付箋ツールでキーワードを短文で書き出し、キャンバス上に自由に貼り付けてもらいます。全員の付箋がそろったら、グルーピング機能を使って関連するアイデアをまとまりごとにまとめます。
コメント/@メンションで深掘り議論
各付箋や図形にはコメントを付けられるため、補足説明や質問をその場で記録できます。@メンション機能を使うと特定の参加者に通知を飛ばせるため、必要なフィードバックを迅速に集められます。この非同期コミュニケーション機能は、録画を見返さずとも詳細な議論ログを確認できる利点があります。
タイムラインとナビゲーションで進行管理
Jamboardではページ切り替えを使ったタイムライン管理が可能です。「今はページ2のフェーズです」とアナウンスしながらナビゲートすると、参加者は現在地を見失わずに議論を進められます。タイムボックスを決めてフレームを移動することで、効率的に議論を進行できます。
参加者エンゲージメントを高めるテクニック
オンライン会議では参加者の集中力維持が課題です。Jamboardでは開始5分のアイスブレイクとして「感情ステッカー」を貼り付けてもらう簡易ワークを実施しましょう。好きな絵文字やアイコンを選んで気分を共有することで、参加者間の心理的安全性が高まります。
また、議論の途中でミニ投票を行い、付箋に「いいね」をつけたり、色分けで優先度を示したりすることで、能動的な参加を促し、会議の双方向性を維持できます。
会議後のフォローアップ:エクスポートと共有
会議が終わったら、Jamboardの「エクスポート」機能でPDFまたはPNG形式でキャンバスをダウンロードします。これを社内WikiやGoogle ドキュメントに貼り付けて議事録代わりに共有しましょう。
付箋のテキスト一覧はGoogle ドライブの「テキスト書き出し」機能で抽出できるため、タスク管理ツールへの入力もスムーズです。
Google ドライブ連携で履歴保存
Jamboardは自動的にGoogle ドライブ上にバージョン履歴を残します。過去の状態に遡って参照したり、編集前のボードを別名で複製したりできるため、議論の経緯を詳細に追跡できます。大規模プロジェクトでは定期的にスナップショットを残すことで、進捗や変更の可視化が可能です。
Google Workspaceとのシームレス統合
Google Meetと連携すれば、ビデオ会議中にワンクリックでJamboardを起動し、画面共有せずとも直接全員で編集できます。Chatにリンクを貼れば非同期でコメントを追加でき、Driveに保存されたドキュメントをそのまま貼り付けて参照できるため、会議前後の資料準備工数を大幅に削減します。
他ツール連携と自動化ワークフロー
JamboardはZapierを介してSlackやAsana、Trelloなどとも連携可能です。会議終了後のタスク抽出をZapierで自動化し、付箋をTrelloカードに変換するワークフローを構築すると、フォローアップ漏れを防ぎつつ作業効率を高められます。
よくある課題と対策
初めてJamboardを使う参加者はキャンバスの広さに戸惑い、どこに付箋を置くか迷うことがあります。事前にテンプレートとフレームで領域を区切り、開始時に操作ガイダンスを3分程度行うことで、スムーズに参加を促せます。
また、カメラオフで参加するメンバーにはChatで要点を補足し、情報格差を最小化しましょう。
まとめ:Jamboardで会議を価値ある共創の場に
「Jamboard」を取り入れることで、付箋やペンツール、画像・ドキュメント貼り付けといったビジュアルコラボレーションを通じて、アイデア創出から合意形成、アクションプラン策定までを一貫して行えます。
Google MeetやDriveとのシームレス連携、他ツールとの自動化ワークフローも活用し、チームの生産性と創造性を飛躍的に向上させる次世代会議体験を実現してください。

