バレーボールは、コート上での素早いフットワークや高いジャンプ力、瞬間的な方向転換が求められる競技です。そのため、専用シューズの選定はプレーの質に大きく影響を及ぼします。
一般的にバレーボールシューズにはローカット、ミッドカット、ハイカットの3タイプがありますが、本記事では「ローカットシューズ」にフォーカスを当て、選び方のポイントから最新おすすめモデル、メンテナンス方法まで詳しく解説します。
この記事を参考に、自身のプレースタイルやポジションに適した最適な一足を見つけ、バレーボールライフをより充実させましょう。
ローカットシューズとは何か:メリットとデメリットを理解する
まずは、バレーボールシューズの中でローカットがどのような位置づけにあるのか把握しましょう。ローカットとは、シューズのアッパー(甲部分)が足首より低い位置に設定されているタイプを指し、足首の動きを制限しないため、スピード重視のプレーヤーに好まれるデザインです。
ローカットシューズ最大のメリットは「軽量性」と「足首可動域の広さ」です。足首を覆う面積が少ないためシューズ全体の重量を抑えやすく、ダッシュやターンの際に足先まで敏捷に動かせるのが特徴です。
特にリベロや守備専門の選手は、レシーブやカバーリングの際に瞬時に低姿勢を保てるため、この可動域の広さがアドバンテージになります。
一方で、デメリットとしては「足首の安定性がやや劣る」点が挙げられます。ミッドカットやハイカットに比べアッパーが低いため、足首捻挫などのリスクが増える可能性があります。また、ジャンプ着地時の衝撃を受け止める安定感が薄いと感じるプレーヤーもいるでしょう。
そのため、選ぶ際には軽さだけでなくミッドソールのクッション性やアウトソールのグリップ力、内部構造で足首のホールド性を補うデザインが施されているかをしっかりチェックする必要があります。
ローカットシューズ選びの基本:チェックすべき機能とスペック
ローカットシューズを購入する際に押さえておくべきポイントは主に以下の通りです。軽量性やフィット感、ソールの設計、ミッドソールのクッション性、アッパーの素材と通気性、インソールのサポート構造など、多角的に評価しましょう。
これらを総合的に判断し、自分のプレースタイルに合う一足を選ぶことが、パフォーマンス向上への第一歩です。
軽量性とフィット感:フットワークを最大化する設計
ローカットシューズの最大の魅力は軽さにあります。空気の抵抗を減らし、足元の負担を軽減することで、素早い動きが可能になります。
そのため、アッパーには通気性の高いメッシュ素材や合成繊維が多用され、不要なパーツをそぎ落としたミニマルデザインが採用されることが多いです。軽さだけを追求していないか、実際に履いてみてフットワークの軽快さを体感しましょう。
また、フィット感は足全体を包み込み、ずれやブレを防ぐために重要です。特にローカットモデルは足首を覆わない分、シューレースシステムや内部のパッド配置、ヒールカウンター(かかとの芯材)によって足をしっかり固定できるかを確認しましょう。
どれほど軽くても、フィット感が不十分だとステップ時の安定性を欠き、パフォーマンスが落ちてしまいます。
アウトソールのグリップ力:コートで滑らないための鍵
バレーボールは急停止や急加速、方向転換を繰り返す競技です。アウトソールには耐摩耗性とグリップ力を兼ね備えたラバー素材が使用されますが、その配合やパターン(溝の形状)によって接地感が異なります。
主に密度の高い天然ゴムや合成ゴムが組み合わされており、細かいドットパターンや複雑な波状デザインが多く見られます。
選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。まず「耐久性」です。アウトソールのラバー厚や層構造がどの程度かを確認します。二重構造のラバーや補強ラバーが外側に配されたモデルは、長期間使用してもグリップ力が持続しやすい特徴があります。
次に「接地面積」と「溝の深さ」です。接地面積が広ければ広いほどコートへの密着性が高まり、安定した動きが可能に。溝が浅すぎるとホコリがたまりやすく滑りやすくなるため、定期的に掃除できるデザインかどうかも確認しましょう。
ミッドソールのクッション性:着地衝撃を抑え疲労を軽減
ジャンプして着地する動作が頻繁にあるバレーボールでは、ミッドソールの衝撃吸収性が非常に重要です。ローカットモデルは足首のサポートが薄いため、ミッドソールでカバーできるかがポイントになります。
EVA(エチレンビニルアセテート)フォームやPU(ポリウレタン)フォーム、さらにはブランド独自のクッショニング素材を組み合わせた多層構造がよく採用されます。
例えば、アシックスの「GEL(ゲル)テクノロジー」やミズノの「Wave Plate(ウェーブプレート)」、ヨネックスの「Power Cushion(パワークッション)」などが有名です。
これらは着地時の衝撃を吸収し、蹴り出しのエネルギーに変換する機能を持つため、膝や足首への負担を軽減しながら、素早い動きが可能になります。購入時には、実際にジャンプや軽いランジを行って着地感を確かめることをおすすめします。
アッパー素材と通気性:熱気を逃がして足ムレを防ぐ
バレーボールは高強度の運動を伴うため、足が蒸れやすくなります。蒸れるとシューズ内環境が悪化し、皮膚トラブルやシューズの劣化を招く原因にもなります。
そのためアッパーには通気性に優れたメッシュ素材が使用されることが多く、局所的に合成皮革や合成繊維で補強が施されます。メッシュ素材は密度の異なる編み方をしている場合があり、通気性と強度のバランスを取っています。
選ぶ際は「メッシュ部分の面積」「補強パーツの配置」と「透湿性」の有無を確認しましょう。かかと部やつま先部は補強パーツで耐久性を担保しつつ、甲の側面やタン(シュータン部分)はメッシュが広く設けられているモデルがおすすめです。
また、防菌防臭加工が施されているインソールや抗菌中敷きが標準装備されていると、長時間履いていても嫌なニオイを抑えられます。
インソールとサポート構造:足裏全体の負担を分散する工夫
インソールは足裏のアーチを支え、長時間の練習でも疲労を軽減するための重要パーツです。多くのローカットシューズには柔らかいEVAフォームやPUフォームのインソールが採用され、かつプレーヤー自身が取り外して交換できるタイプもあります。
アーチサポートやヒールカップがしっかり設計されているモデルは、跳躍や着地時のブレを抑えやすく、足の安定感を高めてくれます。
選ぶ際には、かかと部分が緩衝材でしっかり包まれているか、足のアーチ部分に適度な反発力をもたらす構造かをチェックしましょう。足幅や甲の高さは人それぞれ異なるため、シューズを購入した後に市販のカスタムインソールを追加してフィット感を高める方法もあります。
足裏全体に均等に圧をかけられるかどうかを確認するためには、床に立った際の重心移動をチェックしてみるとよいでしょう。
ローカットシューズの選び方:ポジション別・プレースタイル別に考慮すべきポイント
バレーボールには様々なポジションがあり、それぞれ求められる動きや負担が異なります。ローカットシューズを選ぶ際は自分のポジションやプレースタイルを考慮し、どの性能をより重視すべきかを明確にしましょう。
以下では、ポジション別やプレースタイル別に着目すべきポイントを解説します。
リベロ・守備専門の選び方:素早いステップワーク重視
リベロや守備専門選手は、低い姿勢でのレシーブやカバーリングを繰り返す必要があり、すばやいステップワークと床との摩擦感のバランスが重要です。
このため、ローカットシューズにおいては「軽量性」と「グリップ力」を最優先に選びましょう。ミッドソールのクッション性は必要最小限に抑え、足裏感覚を得やすい薄めのソール設計が適しています。
アッパーは甲の可動域を確保しつつ、サイドへの補強が施されたモデルを選ぶと、急な方向転換でも足がブレにくくなります。アウトソールは接地面積が広く、摩耗しにくいパターンを持つものが理想的です。
特にリベロはコート上でのランジを多用するため、かかと周辺とつま先周辺に適切なグリップパターンが連続して配置されたデザインを選ぶと、常に安定したレシーブ姿勢を保ちやすくなります。
アタッカー・スパイカーの選び方:ジャンプ力と着地安定性を重視
スパイカーやアタッカーは、高くジャンプしてスマッシュやブロックを打ち下ろすため、ジャンプ時の反発力と着地時の安定感が求められます。
ローカットシューズにおいては「クッション性」と「反発性」のバランスが大切です。ミッドソールに高反発フォームやバネ構造を備えたモデルを選び、ジャンプの踏み切り時に推進力を得られる設計を重視しましょう。
また、着地時のブレを抑えるために、かかと部のヒールカウンターがしっかりしているか、ミッドソールとアウトソールの接触面が剛性を高める構造になっているかを確認します。
足首の自由度を確保しつつも、内部で足を包み込むようなホールド性を持つアッパー素材が、着地時のロールを抑えて膝や足首への負担を軽減します。
オールラウンドプレーヤーの選び方:バランス重視の万能モデル
攻守どちらもこなすオールラウンドプレーヤーは、瞬発力やジャンプ力、素早いステップワークの全てをバランスよく求められます。
そのため、ローカットシューズの中でも「軽量性」「クッション性」「グリップ力」を総合的に備えたモデルを選びましょう。ミッドソールには中反発フォームが採用されているものを選ぶと、ダッシュやジャンプ、着地の全シーンでバランスよく機能します。
アッパーは通気性とサポート性を両立するメッシュ×合成繊維のハイブリッド素材が最適です。アウトソールは汎用的なグリップパターンを持ち、床との安定感を確保しつつ、摩耗しにくい高耐久ラバーを選ぶと長期間使用しても性能を維持できます。
プレースタイルが固定されにくい分、自分の得意な動き以外にも対応できる汎用性を重視して選びましょう。
ローカットシューズおすすめモデル5選:初心者から上級者まで網羅
ここまで選び方のポイントを解説してきましたが、実際に「どのモデルを選べばよいか」悩む方も多いでしょう。そこで、初心者向けから上級者向けまで、タイプ別におすすめのローカットバレーボールシューズを5モデル厳選して紹介します。
各モデルの特徴や価格帯、向いているプレーヤーレベルを参考に、自分に合った一足を見つけてください。
① 初心者向けモデル:ミズノ「ウエーブアルテミス ローカット」
ミズノ「ウエーブアルテミス ローカット」は、入門者から中級者まで幅広く対応できるバランス重視のローカットシューズです。
ミッドソールにはミズノ独自の「Wave Plate(ウェーブプレート)」を搭載し、衝撃吸収と反発力を両立。フットワークがまだ固まっていない初心者でも着地時の安定感が得られやすく、ジャンプの踏み切り時にも自然な推進力を感じられます。
アッパーにはメッシュ素材をベースに補強パーツを配置し、通気性とサポート性を確保。アウトソールはナチュラルパターンのラバーが広範囲に敷かれており、公式コートのマット面やフローリング上で安定したグリップを発揮します。
価格は1万2000円前後で、最初の一足としてコストパフォーマンスに優れたモデルです。
② 守備専門・リベロ向けモデル:ヨネックス「パワークッション 03 ローカット」
ヨネックス「パワークッション 03 ローカット」は、守備専門やリベロに最適な軽量モデルです。
ミッドソールに搭載された「Power Cushion+(パワークッションプラス)」は、打ち付けられる衝撃を吸収し、それを反発力に変換して足元へ返す機能を持ちます。これにより、リベロが素早くステップを踏むたびに、足への負担を軽減しつつフットワークをサポートします。
アッパーは通気性に優れたメッシュ素材を使用し、側面に合成皮革の補強パーツが適所に配置されています。これにより、低い姿勢でのレシーブやランジの際に足がブレにくくなります。
アウトソールは細かいドットパターンを採用し、コート上での滑りを最小限に抑えながらも摩耗に強いラバーを使用。価格は1万5000円前後ですが、リベロや守備専門選手にとっては防御力の高い一足です。
③ 中級者向けモデル:アシックス「GEL-ROCKET 11」
アシックス「GEL-ROCKET 11」は、中級者向けに開発された人気モデルです。ミッドソールの「GEL(ゲル)テクノロジー」は、ジャンプ着地や方向転換時の衝撃を効率的に吸収し、連続的なステップワークでも疲労感を軽減します。
また、ミッドソールの前足部には「Trusstic System(トラスティックシステム)」を組み込むことで、足のブレを抑えて安定性を向上。ミドルステップやランジを繰り返す中級者に最適な設計です。
アッパーは耐久性の高い合成繊維を基調に、甲部分には通気性の良いメッシュを配置。アウトソールは高摩耗性ラバーを使用し、複雑な溝パターンがコートとの密着性を高めます。価格は約1万8000円前後とやや高めですが、中級者が安定したプレーを長時間続けるための機能が詰まったモデルです。
④ 上級者向けモデル:ミズノ「ウエーブトルネード X2」
ミズノ「ウエーブトルネード X2」は、ハイパフォーマンスを求める上級者向けのローカットシューズです。
ミッドソールには「Wave Infinity(ウェーブインフィニティ)」プレートと高反発「ENERSHIELD(エナシールド)」を採用し、ジャンプ時の推進力と着地時の衝撃吸収を最適化。軽量化を追求しつつ、安定性を支える構造が特徴です。
アッパーは高耐久の合成繊維に、サイドステップ時のブレを抑えるための「Dynamotion Fit(ダイナモーションフィット)」設計を採用しています。アウトソールは独自開発の高性能ラバー「X10」を使用し、グリップ力と耐久性の両方を兼ね備えています。
価格は約2万5000円前後と高額ですが、上級者がトップレベルのパフォーマンスを追求するための最先端モデルです。
⑤ コストパフォーマンスモデル:アシックス「UPCOURT 3 ローカット」
アシックス「UPCOURT 3 ローカット」は、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルです。ミッドソールには軽量EVAフォームを使用し、適度なクッション性を確保。アウトソールは耐摩耗性ラバーを採用し、初心者から中級者までのプレーに対応できます。
アッパーは合成繊維中心のシンプルな作りで、通気性とホールド性のバランスも取れているため、初めてバレーボール専用シューズを購入する方に最適です。
価格は1万円以下で手に入るため、予算を抑えつつグリップ力やクッション性を重視したい方におすすめです。軽量性を追求するあまり耐久性が犠牲にならないよう、ミッドソールとアッパーの品質にはこだわりが感じられるモデルです。
ローカットシューズの履き心地を高めるメンテナンス方法と長持ちさせるコツ
お気に入りのローカットシューズを長く快適に使うためには、日々のケアやメンテナンスが欠かせません。以下では、使い始めてからの正しいお手入れ方法と、寿命を延ばすためのコツを解説します。
使用後の汚れ落としと乾燥方法
練習や試合後には、まずシューズの内部に溜まった汗を軽くタオルで拭き取ります。その後、アッパーやアウトソールに付着したホコリや土埃を柔らかいブラシで払い落としましょう。
汚れがひどい場合は、水で薄めた中性洗剤を布に含ませ、優しくアッパーを拭きます。石けん分が残ると素材を劣化させる恐れがあるため、使用後は清潔な水で再度拭き取ることをおすすめします。
乾燥は直射日光を避け、風通しの良い日陰で陰干しします。シューズ内部に新聞紙やシューキーパーを詰めることで、型崩れを防ぎつつ湿気を吸収させられます。急いで乾かそうとヒーターやドライヤーを使用すると、アッパー素材が変形したり接着剤が剥がれたりする原因になるため避けましょう。
アウトソールの摩耗チェックと補修方法
ローカットシューズのアウトソールは摩耗しやすいため、定期的に耐摩耗性ラバーの減り具合を確認しましょう。特にかかと部分やつま先部分が著しく摩耗している場合、グリップ力が低下して滑りやすくなります。
軽度の摩耗であれば、シューズ専用の補修用ラバーシートを貼ることでグリップ力が回復することがあります。補修シートはシール状になっているものや、熱を加えて接着するタイプがありますので、使用方法に従って慎重に施工してください。
アウトソール全体が極度に摩耗してしまった場合は、安全性を考慮して新しいシューズに買い替えることを検討しましょう。無理に使い続けるとパフォーマンス低下だけでなく、ケガのリスクも高まります。
インソールの交換と衛生管理
シューズに内蔵されているインソールは汗や摩擦で劣化しやすく、においやクッション性低下の原因になります。定期的に取り外して陰干しし、抗菌スプレーを使用して雑菌の繁殖を抑えましょう。インソール表面にひび割れや凹みが見られる場合は、新しいインソールに交換することをおすすめします。
市販のカスタムインソールやアーチサポート入りのタイプに替えることで、より快適なフィット感と疲労軽減効果を得られます。
アッパーの防水・防汚スプレーで素材を保護する
ローカットシューズのアッパー素材は通気性を重視しているため、汚れや湿気が入り込みやすい面があります。使用開始前に専用の防水・防汚スプレーを全体に吹き付けておくことで、汚れや水分の浸透をある程度防げます。
スプレーはメッシュ部分や合成繊維部分にも均一にかかるよう、20~30㎝離してムラなく塗布してください。数回の使用ごとに塗り直すことで、シューズ本来の快適性と耐久性を長期間にわたって維持できます。
まとめ:ベストなローカットシューズでバレーボールのフットワークを極めよう
バレーボールローカットシューズのメリット・デメリット、選び方のポイント、ポジション別に必要な機能、初心者から上級者までのおすすめモデル5選とメンテナンス方法を詳しく解説しました。
ローカットシューズは、軽量性と足首可動域の広さが魅力ですが、同時に足首の安定性やクッション性をしっかり考慮する必要があります。
リベロや守備専門選手は素早いステップワークを重視し、アタッカーやスパイカーはジャンプ時の反発力と着地時の安定感を優先するなど、自身のプレースタイルに合ったシューズ選びが欠かせません。
また、使用後の汚れ落としや陰干し、アウトソールの補修、インソールの交換、防水・防汚スプレーの活用など、日々のメンテナンスを怠らないことで、快適な履き心地と高いパフォーマンスを長期間にわたって維持できます。
この記事を参考に、自分だけのベストなローカットシューズを見つけ、コート上での動きをさらに磨き、バレーボールのフットワークを極めましょう。

