飲み会の幹事を任されると、会場選びや人数調整だけでなく、何よりも頭を悩ませるのが「予算配分」です。参加者全員が満足する場所やプランを選ぶためには、限られた予算の中で最適な配分を考えなければなりません。
本記事では、参加費設定から会場費の見積もり、飲食費用のバランス、追加経費の確保方法まで、具体的かつ実践的なノウハウを丁寧に解説します。年齢や職種、規模が異なる飲み会でも応用できる汎用性の高い手法を紹介するので、幹事初心者も安心して読み進めてください。
1. 参加費の設定と総予算の確定方法
まずは飲み会の開催目的や規模を踏まえて、参加費をいくらにするかを決める必要があります。社員同士の懇親を深める社内飲み会であれば、会社から一部補助をもらえるケースもあるでしょう。
一方、友人同士のプライベートな飲み会では全額自己負担が前提となります。幹事としては、参加人数を確定させたうえで、希望予算を幹部やグループリーダーに相談し、会社補助や他の出資方法があるかどうかを事前に確認しておきましょう。
参加費を決定する際は、「一人あたりいくら徴収するか」「会社が〇〇%を負担するか」を明確にします。たとえば、会社補助が総予算の半額まで可能であれば、会費を抑えつつも質の高い会場を選びやすくなります。
最終的な総予算は「参加費×人数+会社補助」という形で確定させ、細かな費用の内訳を後に算出できるようにしておきましょう。
1-1. 参加人数の確定と募集期間の設定
参加費を決めたら、幹事は参加募集をスタートさせます。幹事にとって重要なのは、開催日の2週間前を目安に最終人数を確定させることです。人数が多くなりすぎると予算オーバーになるリスクが高まりますし、逆に少なすぎると赤字を抱える懸念があります。
まずは「3営業日以内に参加意思を必ず回答する」という締め切りを設定し、社内チャットやメーリングリストでリマインドを行いましょう。人数が確定すれば、総予算の大枠が固まり、会場手配やコース選定がスムーズになります。
1-2. 会社補助の有無と補助額の交渉ポイント
会社で開催する場合、幹事は総務部などに「会社補助があるか」「補助額の限度はいくらか」を必ず確認しましょう。補助額が大きければ、参加者の負担を軽減でき、豪華なコースや飲み放題をつける余裕が生まれます。
交渉時には、前年実績や参加人数を根拠にして「社内コミュニケーション活性化のために、幹事としてこれだけの補助が欲しい」という論拠を示すと、承認を得やすくなります。
2. 会場費・コース料理費の配分バランス
参加費と会社補助が決まったら、次は会場費やコース料理費の具体的な配分を考えます。一般的には「料理費:飲み放題費=8:2〜7:3」を基本として予算配分します。
料理に重点を置けば参加者満足度が高くなりますが、飲み放題のクオリティを下げすぎると、ドリンクが少ないと感じる人が出てきます。そのため、コース内容と飲み放題メニューを比較しながら、コストパフォーマンスを見極める必要があります。
店舗を選ぶ際には、複数の候補店に見積もりを依頼し、会場が提示する「一人あたりの最低保証金額」「コース料理の詳細」「飲み放題のアルコール・ソフトドリンクの品揃え」を確認します。これにより、予算の範囲内でもっとも満足度の高いプランを選択しやすくなります。
2-1. 一人あたりの料理コース選定のポイント
料理コースは「料金」「品数」「質」の3つを総合的に比較しましょう。
料金が安いコースは品数が少なかったり、料理の質が低いケースが多いです。特に飲み会終盤で参加者がお腹いっぱいになることを見越し、コースのスタートから中盤で食べ応えのあるメイン料理やボリューム感ある前菜を含むプランを選ぶと、全体的な満足度が高まります。
また、その店舗独自のオプションや追加の単品メニューがある場合は、事前に価格を確認し、余裕があれば一品だけ追加できるようにしておくと、当日のトラブルを防げます。
2-2. 飲み放題内容と追加料金の見極め方
飲み放題プランは店舗ごとにドリンクの種類や時間制限が異なります。アルコールのラインナップは「ビール・サワー・ワイン・日本酒・ハイボール・カクテル」が一般的ですが、店舗によっては焼酎やプレミアムウイスキーが含まれる場合もあります。
幹事は「ドリンクメニューの種類」と「時間制限(90分・120分など)」を必ず確認し、参加者の年齢層や好みに合わせたプランを選択しましょう。また、延長料金や飲み残しルールもチェックしておけば、当日のトラブルを回避しやすくなります。
3. 追加経費・予備費の確保と管理方法
飲み会幹事は予算を組むとき、本番で必ず発生し得る「追加経費」や「予備費」を確保しておくことが重要です。
たとえば、参加人数が増減した場合の追加料金、余興の景品代、延長料金などが該当します。追加経費が発生した場合には、幹事宛に別途徴収するか、会社補助の中から賄えるかを事前に決めておくと、当日の混乱を防止できます。
予備費は総予算の5〜10%を目安に確保すると安心です。支出実績を管理する専用のスプレッドシートを用意して、会場費や飲食費、景品代、延長代、交通費などの項目ごとに予算と実績を一覧で把握できるようにしましょう。
このように見える化しておくと、少しの金額オーバーでもすぐに気づき、適切な調整が可能になります。
3-1. 参加人数変更時の調整策
最終確認までに参加人数が変動した場合は、速やかに会場担当者に連絡し、コース制限人数や追加分の単価を確認します。
たとえば「参加者が3人増えたが、コースは10人単位でしか注文できない」というケースでは、追加分は当日オーダーで成り立たせるか、「会社側で欠席者の分を補填する」といった決断が必要です。幹事は人数変更の度に必ず追加経費を計算し、参加者や上司と共有して了承を得る運びにしましょう。
3-2. 余興・景品にかかる費用管理
余興やゲームを実施する場合、そのための景品費用を別途予算化します。たとえばビンゴ大会であれば、1位から5位までの景品を用意する必要があるでしょう。
景品の価格帯を「1,000円相当」「3,000円相当」「5,000円相当」と分け、人数や景品数をあらかじめ決定しておくと、費用のブレを抑えられます。また、景品を業務提携先や取引先から協賛してもらえる場合は、事前に交渉しておくと予算を節約できます。
4. 幹事が使える予算節約テクニック
限られた予算の中で満足度を向上させるためには、いくつかの節約テクニックを押さえておくことが重要です。以下では、実践的な節約方法を紹介します。
4-1. オフピークタイムや平日限定プランの活用
居酒屋やレストランは、平日やオフピークタイム(17時~19時など)に利用すると、割引価格や無料サービスが付与される場合があります。
土日や祝日は割高になることが多いので、可能であればあえて金曜日ではなく木曜日開催にする、業務終了直後ではなく少し遅めの時間に開催するなどの工夫が有効です。こうした予約枠を活用すると、同じコース内容でも安価に抑えられ、参加者の満足度を維持しつつ予算を節約できます。
4-2. 飲み放題のグレードを選び分ける
幹事は飲み放題プランのグレードを複数用意し、一部の参加者にはスタンダードプラン、アルコールをあまり飲まない参加者にはソフトドリンクのみプランを提案することも検討しましょう。
たとえば「プレミアム飲み放題(1,500円)」「スタンダード飲み放題(1,000円)」「ソフトドリンク飲み放題(500円)」とランク分けすることで、飲みすぎない参加者には低価格プランを選択してもらい、豪飲派には高価格プランを利用してもらうように誘導できます。
これにより、飲酒量の差から発生するコストを適切に管理できるようになります。
4-3. 共同購入や割引クーポンの活用
ウェブサービスが発行する飲食店割引クーポンや、グルメサイトの共同購入クーポンを活用すると、ワンランク上のコースを割安で利用できることがあります。また、飲み会の参加者数がまとまっている場合は、会場に「団体割引は可能か」「幹事特典はあるか」を直接交渉すると、飲食代を1~2割程度節約できる可能性があります。幹事としては、できる限り早めにクーポン情報をチェックし、割引率の高いプランをリストアップしておきましょう。
5. 会計の方法と支払いタイミング
予算やコースが確定したら、最後に会計方法と支払いタイミングを決めます。会計がスムーズに進まないと、当日の雰囲気が悪くなりかねません。ここでは代表的な会計方法を2つ紹介します。
5-1. 当日一括精算とお釣りの準備
最もシンプルなのは「受付時に参加費を徴収し、全額を一括で支払う」方法です。幹事は事前に「参加費=一人あたりの飲食費+予備費」として決めておき、受付で現金を回収します。お釣りが発生するため、小銭や千円札を十分に用意しておきましょう。
特に10人以上の宴会では80,000円~100,000円程度を扱うこともあるため、銀行で両替しておくと安心です。
なお、会社補助がある場合は幹事が立替払いを行い、請求書や領収書を総務に提出するフローを整えておきます。領収書は宴会終了後すぐに回収し、翌営業日中には申請書とともに経理部へ提出しましょう。
5-2. 事前クレジットカード決済+当日精算
近年ではオンラインで幹事があらかじめクレジットカード決済を行い、当日は追加料金のみ現金で徴収する方法も増えています。たとえば「一人あたり5,000円分をカード決済し、料理やドリンクの追加があれば後払いとする」といった形です。
事前決済を導入すると、お店と幹事の間で支払いラグがなくなり、当日の会計が驚くほどスムーズに進みます。ただし、キャンセル時の返金手続きがやや煩雑になるため、幹事はキャンセルポリシーを事前に参加者に周知し、トラブルを回避しましょう。
6. 参加者に伝えるべき予算ルールと案内文例
予算配分を決めたら、参加者にどのように案内すればスムーズに理解してもらえるかを考える必要があります。案内メールやチャットの文面には、以下のポイントを必ず盛り込みましょう。
6-1. 案内文に含むべき予算関連情報
参加案内には「開催日時」「会場」「コース内容」「飲み放題の有無」「参加費(会社補助額を含む)」を明記します。
たとえば「当日は〇〇店で飲み放題付きコースを予約しており、参加費は一人3,000円(会社補助1,000円含む)です。差額分は当日受付で徴収します」という形で金額の内訳を示すと、参加者は納得しやすくなります。また、募集締切日や追加料金が発生するタイミングにも触れておきましょう。
6-2. 参加受付から当日までの流れ案内例
以下は案内文の一例です。各社の環境や文化に合わせてアレンジしてください。
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件名:〇月〇日(金)飲み会のご案内(参加費:3,000円)
本文:
皆さん、お疲れ様です。次回の社内飲み会を下記のとおり開催いたします。ぜひご参加ください。
日時:2025年6月20日(金)19:00~21:00
会場:〇〇居酒屋 本店(○○市△△町1-2-3、最寄り駅:□□駅)
コース:飲み放題付きAコース(料理8品、2時間制)
参加費:一人3,000円(会社補助1,000円含む)
※締切:6月10日(月)17:00までに幹事まで参加・欠席をご連絡ください。
※キャンセルは6月15日(水)17:00まで受付。それ以降のキャンセルはキャンセル料の対象となります。
当日は開始10分前に受付しますので、各自現金3,000円を幹事までお渡しください。会社補助分1,000円は別途幹事が立替えます。
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まとめ:幹事の予算配分方法をマスターしてスマートに運営しよう
「飲み会幹事の予算配分方法」というキーワードで、参加費設定から会場費・飲食費の配分バランス、追加経費・予備費の確保方法、節約テクニック、当日の会計方法、案内文作成のポイントまでを詳しく解説しました。
予算配分は幹事の腕の見せどころです。参加者の年齢層や飲酒量、会社の補助状況を踏まえ、最適なプランを提案しましょう。
特に予算配分の基本比率「料理費:飲み放題費=8:2〜7:3」を意識しつつ、平日割引やクーポンの活用でコスト削減を図ることが大切です。
この記事を参考に、予算配分をスマートに行い、参加者全員が満足する飲み会を開催してください。幹事の心配ごとが減れば、そのぶん当日の盛り上げに集中できるはずです。皆さんの幹事役が成功することを願っています。

