ラックはラグビーにおける攻守の要所。初心者が正しいフォームと動きを身につけることで、ボールの確実な確保はもちろん、相手へのプレッシャーや味方へのサポートにも繋がります。
本記事では、ラックの定義からポジショニング、体の当て方、足の使い方、支持力を高めるトレーニングドリルまでを網羅的に解説します。
ラックとは?ルールと目的を理解しよう
ラックは、タックル後に倒れた選手とボールを囲んで形成される状況を指します。攻撃側はボールを確保し前進を継続し、守備側はボールを奪取または保持を妨害してターンオーバーを狙います。
ラックの形成には、オフサイドラインの遵守や手を使わない「足だけで争う」ルールがあり、初心者はまずこの基本ルールを理解しましょう。
オフサイドと正しいポジション
ラックに参加する選手は、ラックが始まった地点の後方5m以内に立たなければなりません。前方からの侵入はオフサイドとなり、相手にペナルティを与えてしまいます。自分の位置を常に意識し、ラックの背後で準備を整えましょう。
ラックの基本動作1:低い重心と背中の角度
安定したラックを作るためには、腰を落とし重心を低く保つことが不可欠です。上体を地面に対して約45度に傾け、肩から腰までを一直線に保つと、相手のアタックを受け流しながらボールに体重を掛けられます。これにより、相手を押し返しやすくなり、ボール確保の成功率が格段に上がります。
姿勢をキープするコツ
背中を丸めず、目線は前方斜め下へ。膝は軽く曲げ、足裏全体でしっかりと地面を捉えます。肩と腰を同じ高さに保ち、相手の攻撃を受け止める「板のような」体幹を意識すると、ラックが崩れにくくなります。
ラックの基本動作2:足の踏み込みとドライブ
ラックの最中は、足を連続して「ドライブ」させることで相手を押し出し、ボールを後方へ送る動きが求められます。踏み込むタイミングとリズムが合うと、グループ全体で強い推進力を生み出せます。
ステップとドライブの連動
一歩一歩をしっかりと踏み込み、つま先から地面を蹴るイメージで押し出します。踏み込んだ足はすぐに後ろに戻さず、その場で押し込み続けることが重要。チームメイトと呼吸を合わせ、“ワン・ツー”のリズムで連携しましょう。
ラックの基本動作3:ハンズアップとクリアランス
ラックの上では手の使用が限定されますが、手を伸ばしてボールに触れられる位置を確保し、味方へのボール供給をサポートする「ハンズアップ」の動作が効果的です。
ハンズアップ時の注意点
手は相手選手に使わず、あくまでボール取得およびサポートのために使用します。ボールをクリアランスするときは、足元のボールを素早く足先で蹴り出すことで、味方に安全にパスできます。
初心者向けラック強化トレーニング
基本動作を身につけた後は、実戦を想定したドリルで反復練習しましょう。
タックル&ラック連動ドリル
パートナーとタックル→ラックを交互に行い、ラック姿勢から足踏みドライブ、ボールクリアランスまでを一連の流れで練習します。タックルの瞬発力とラック姿勢の切り替えをスムーズに行えるようにしましょう。
グループドライブ練習
スクラムマシンやパッドを相手に見立て、3~5人で重心を低く保ったまま連続ドライブを行います。前列から後列へ力を伝える感覚を掴み、チーム全体での協調性を高めます。
初心者がよく陥るミスと改善策
ラックで初心者が犯しやすいミスを把握し、的確に修正しましょう。
ミス1:腰が高すぎる
腰が高いと背中が丸まりやすく、相手に押し負けます。常に膝を深く曲げ、腰を落とす意識を持ち続けましょう。
ミス2:足の踏み込みが浅い
踏み込みが浅いと推進力が弱まり、ラックが前進しません。つま先からしっかり地面を蹴るドリルで、踏み込みの感覚を鍛えましょう。
ミス3:クリアランスのタイミングが遅い
ラックが崩れかけてからクリアしようとすると、相手に奪われやすくなります。ボールが見えたら即座に足先でクリアするクセをつけましょう。
まとめ:基本動作を徹底して身につけ、ゲームで活かそう
ラックの基本動作に関して、姿勢・ドライブ・クリアランスの3ステップを中心に解説しました。基本フォームと練習ドリルを反復し、よくあるミスを改善しながら、ラック強化を図りましょう。正しいラック技術が身につけば、攻守の要としてチームに大きく貢献できます。

