本記事では野村克也さんが書かれた著書「野村克也からの手紙(野村克也著 ベースボールマガジン社)」についてご紹介します!
「野村克也からの手紙」は2018年6月に発行され、野村さんが送りたい方に向けて書かれた二十一通の手紙を書籍にてご紹介しています。
今後のリーダーに向けての手紙
まず野村さんは指導者としてプロ野球野球界に関わっていく教え子に対して手紙を書かれています。
その教え子は、
- 宮本慎也さん
- 稲葉篤紀さん
- 伊藤智仁さん
の3人です。
宮本さんは書籍が発行された当時はヤクルトスワローズのヘッドコーチで、稲葉さんは侍ジャパンの監督、伊藤さんは富山GRNサンダーバーズの監督とそれぞれ指導者として活動をされています。
その中で上記の三方それぞれの現役時代のエピソードや今後の指導者になるにあたってのアドバイスなどが書かれています。
監督としての経験を基にアドバイスを送る
野村さんが監督として長らく活躍されてきた時の経験を基にして、これから指導者になっていく三方にアドバイスを送られていました。
野村さんの指導者論は、
- 状況判断
- 言葉力
- 自分の野球観を浸透させること
- 本を読む
主にこの4つが指導者として必要だということです。
今指導者として活動している方、将来指導者を目指している方にもためになる書籍だと思いました!
現役で活躍している挑戦者への手紙
現在現役で活躍し、野村さんが記憶に残っている選手に向けて手紙を書かれています。
どの選手に向けて手紙を書かれたかというと、
- 田中将大投手
- 大谷翔平選手
- 甲斐拓也選手
- 清宮幸太郎選手
の4選手に向けて書かれており、今後プレーしていく上で意識するべき事やアドバイスなどが書かれています。
一人ひとりに対して熱いメッセージが込められている
上記の4選手に宛てた手紙ですが、野村さんは一人ひとりに対して思ったこと、これから活躍する上でのアドバイスが書いてあります。
田中投手には当時楽天の監督だった野村さんの下でプレーをしていたので、
- 楽天時代の田中投手のこと
- 30歳を越えた田中投手に対してのアドバイス
を贈られています。
大谷選手には、
- 二刀流としてプレーすることに対して思ったこと
- 野村さん自身がもし大谷選手と対戦するならどんな対策を練るか
- 今後大谷選手が新時代を切り開くことへの期待
を大谷選手へ贈られています。
甲斐選手には、
- 野村さんとの共通点
- キャッチャーとしての極意
- お母さんのこと
を書かれていますね。
清宮選手には、
- 高校1年生時の清宮選手を見た感想
- プロで長く生きていくためのアドバイス
- 一社会人としての自覚の大切さ
について書かれています。
選手それぞれに対して思ったこと、感じたことを率直に伝えているので選手の心にも響く手紙となっています。
個性派への忠告の手紙
野村さんが現役時代、又は監督時代に記憶に残っている個性派、すなわち「変わり者」の方に向けて手紙を書かれています。
野村さんがいう現役時代個性派だった選手のエピソードはかなりインパクトがあるものになっています(笑)
野村さんが個性派として名前を挙げた人物は、
- 江本孟紀さん
- 門田博光さん
- 江夏豊さん
- 古田敦也さん
- 新庄剛志さん
の5名の方に向けての手紙となっています。
野村さんが苦労したという「南海の三悪人」
野村さんが南海ホークスの選手兼監督時代に
- 江本孟紀さん
- 門田博光さん
- 江夏豊さん
がそれぞれ南海でプレーをしましたが、野村さんが言うにはこの三方が監督として接していく上でかなり苦労したみたいです。
その代わり、野村さん自身を監督として大きく成長させてくれた3人とも仰っています。
江本さんと江夏さんは投手、門田さんは野手で野村さんに記憶の中に鮮明に残っていたみたいですね。
- 走り嫌いで当時の長髪ブームに乗っていた江本さん
- 野村さんの打撃理論と正反対を貫いた門田さん
- 元阪神のスター江夏豊さん
の「南海の三悪人」を上手く起用し、野村さんと南海三悪人のエピソードはかなり濃いものとなっています!
頭脳明晰の古田さん、宇宙人の新庄さん
南海の三悪人の他に個性派として名を挙げたのは古田敦也さんと新庄剛志さんです。
頭脳明晰の古田さん
古田さんは野村さんがヤクルトの監督の時にプレーしたキャッチャーです。
もちろん、野村さんは同じキャッチャーとして古田さんを早く一人前にするべく野球頭脳を叩き込みます。
そして古田さんが選手兼任監督になったこと、人間性の評価なども書かれています。
宇宙人の新庄さん
新庄さんは野村さんからしたら「宇宙人」と呼ぶくらい新庄さんは自分のスタイルを貫いていたようですね(笑)
新庄さん前回の記事でご紹介した新庄さん著書「もう一度、プロ野球選手」の中で新庄さんは「野村さんから言われたことも理解していたが、やはり自分のスタイルでないと力が湧いてこない」ということで新庄さんは自分を貫いたそうです。
野村さんは新庄さんの非凡な身体能力を認め、「もう少し努力すれば長嶋茂雄さんを超える選手になってたのでは」と嘆いています。
野村さんから見た個性派の選手は選手的そして人間的にも「もったいない」というように述べていました。
恩師・友への手紙
野村克也さんは自分をプロ野球界に入れてくれた「恩師」やライバル関係だった「友」へ手紙を書かれています。
- 鶴岡一人さん
- 杉浦忠さん
- 稲尾和久さん
- 長嶋茂雄さん
- 王貞治さん
の5人に対して手紙を書かれています。
鶴岡さんは野村さんをプロ野球選手として拾ってくれた恩師。
杉浦さんはチームメイトとしてバッテリーを組んだ戦友。
稲尾さん、長嶋さん、王さんは野村さんのライバルであり友。
現役時代を走ってきた野村さんが見た恩師や天才たちについて思ったことをそのまま手紙に書いています。
身近で見た天才たち
野村さんは身近で杉浦さん、稲尾さん、長嶋さん、王さんと言った球史に残る選手を見てきました。
杉浦さんは同じ南海のエース。
稲尾さんは「針の穴を通すようなコントロール」と呼ばれた精密機械。
長嶋さんは野村さんのささやき戦術が一切通用しなかった天才。
王さんは打席での集中力が凄まじいアーティスト。
このようなそれぞれ天才だったライバルに熱い手紙を書いています!
野村さんにとって現役時代のライバルの存在は野村さんを育ててくれた唯一の恩師と言っても過言ではありません。
家族への手紙
野村さんが家族に宛てた手紙には、
- お母さん
- 沙千代さん
- 克則さん
の三方に向けて手紙が書かれています。
家族に対する思いは野村さんにとってやはりかなり特別なものであったようです。
母子家庭だった野村さん
野村さんは3歳の時にお父さんを戦争で亡くし、それ以降お母さん一人で野村さんとお兄さんの二人の息子を育てていきます。
お母さんは病弱で、仕事ができるような状態ではなかったことから、野村さんはお兄さんとアルバイトしながら家計を支えたということです。
そして野村さんはなんとか高校まで野球を続けることが出来て、見事プロ入りをします。
戦後の混乱期で貧しい中、病弱な体で子供を育ててきたお母さんへの思いが書かれていました。
沙知代さんと克則さんへの思い
奥さんの沙知代さんと息子の克則さんに対しても思いのこもった手紙が書かれています。
沙知代さんは激動の監督時代に苦楽を共にした奥さんで、克則さんは大切な息子さんで家族に対する愛が伝わりました。
沙知代さんの存在は野村さんにとって大きな存在で、沙知代さんが亡くなられた後の生活がとても寂しかったと本の中で仰られてました。
愛妻家であった野村さんからすれば相当寂しかったと思います。
野村克也さんからの遺言
本の最後に野村さんから将来のプロ野球界に対しての意見やお願いが書かれていました。
- 優秀な選手のメジャー挑戦について
- コミッショナーについて
- 交流戦、DH制について
- 監督育成について
と主に4つほど野村さんの意見を含めた遺言が書かれていました。
今後の日本のプロ野球界が間違った方向に行かないように野村さんの遺言をしっかり受け止めてこれからプロ野球を発展させていかなければいけません。
野村監督の野球人生と人生そのものが分かる本
「野村克也からの手紙」は野村さんの野球人生だけではなく人生そのものも分かり大変心に刺さる本となっています。
野球人としてもそうですが、まず一社会人としての基本を野村さんは大事にしているということも分かり人生においても参考になる本であると感じました。
是非多くの方に読んで頂きたい本です。
野村さんから「人生を生きていく上で刺さるメッセージ」を受けたい方は是非購入して読んでみてください!